著者
久田 智也 唐鎌 元気 生田 領野
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

本研究では、Heki [2011]で地震の先行現象として報告された電離圏総電子数(TEC)の増加について、確率論的な検証を行った。Heki [2011]では、2011年東北沖地震発生の約40分前に震源域周辺でTECが上昇したことを報告しており、その後のHeki and Enomoto [2015]では、地震前のTECの時系列にAICを適用して、上昇が起こった時刻と増加率を評価した。また、増加率の閾値(3TECU/h以上の絶対的上昇かつ75%以上の相対的上昇)を超えるTECの変化は、稀にしか起こらないことを示し、5つの巨大地震の前に検出されたTECの上昇が偶発的に一致したのではなく、地震の先行現象である可能性を強く示唆した。我々は、61日間の平時のTECの観測値から、Heki and Enomoto [2015]が設定した閾値を上回るTECの上昇が、本当にまれにしか起こらない現象かどうかを、対象とする衛星を変えて検討した。TEC変動の時系列は衛星毎にその形状が異なるため、閾値を超えるTECの上昇を観測する回数や時刻も衛星毎に異なる。そこで先行研究から、観測に用いる衛星の数と観測期間を変えて、閾値を上回るTECの上昇の発生頻度を比較した。先行研究では地震の前後計21日間について1つの衛星(15番衛星)のみで頻度を算出し、計84時間で7回のTECの上昇が検出された。本研究では地震の前後計61日間について、先行研究と同じGEONET観測点(ID:3009)から、視野に入る全ての衛星を対象として頻度を算出した.その結果、仰角マスク25°、計305時間では201回のTECの上昇が検出された.先行研究では現象の発生率は1時間あたり0.08回であったのに対し、本研究では0.66回となった.Heki and Enomoto [2015]では、調査した巨大地震8つのうち5つで、地震発生90分以内に閾値を上回るTECの上昇が見られたと報告されている.ポアソン過程を仮定すると、先行研究の84時間で7回の検出頻度の事象が、8つの地震のうち少なくとも5つで偶然観測される確率は0.09%であるので、これらの地震の発生と無関係な事象であるとは考えにくい。しかし本研究の305時間で201回の検出頻度を仮定して同様の確率を算出すると●%であり、地震の発生前に偶発的に検出されたとしても不思議ではない。観測されるTECの上昇の回数は衛星の仰角マスクに依存する。仰角マスクを低くすると視野内の衛星数の増加により現象の検出回数も増加するが、低仰角ではTECの挙動が不安定になるため、より過剰に上昇が検出される。先行研究で採用している衛星の最低高度は20°から25°程度であり、本研究でも25°とした。しかし視野内に存在している衛星の数と、検出されたTECの上昇数を比較すると、37°程度より低い仰角マスクではこの不安定の影響があるようである.よって仰角マスクを37°に設定すると、TECの上昇回数は計305時間で100回であった。この時、8つの地震のうち少なくとも5つの地震で地震発生90分前にTECの上昇が観測される確率は、51.6%となる。やはり5つの巨大地震と、その前のTECの上昇が偶然一致した可能性は否定できない。閾値を超えるTECの変動は、視野に入る衛星のうちの一つだけで起こっていることが多い(全体の67%)。このため先行研究は、15番衛星以外の多くの衛星で単独で起こっているTECの上昇を見逃したことで発生確率を過小評価する結果となった.25°=64.5%37°=14.8%
著者
宮下 敦 村上 浩康 藤田 渉 力田 正一 市川 孝 関谷 友彦
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

群馬県下仁田町の中小坂鉱山は,明治初期に製鉄が行われた近代産業遺産であるとともに,高品位の磁鉄鉱鉱石を産する下仁田ジオパークのジオサイトであるが,その鉱床学的成因は不明であった. この磁鉄鉱鉱床は,中央構造線に比定されている大北野-岩山線の北側にあり,ジュラ紀付加体であるとされる南蛇井層と70 Maの領家帯平滑花崗岩中に胚胎される,小規模だが高品位の鉄鉱床である.磁鉄鉱鉱石は,アクチノ閃石もしくは加水黒雲母+緑泥石からなり炭酸塩鉱物脈を伴う変質帯中に,レンズ状から脈状の鉱体として産する.磁鉄鉱は3 wt.%に達するケイ素を含み,塩素を含む自形の燐灰石の微粒をしばしば包有している(Fig. 1).磁鉄鉱鉱石に伴う硫化物はごくわずかで,主に磁硫鉄鉱からなり,低硫黄分圧を示唆している,また,しばしば砒鉄鉱と硫砒鉄鉱の複合粒を伴い,その場合硫砒鉄鉱中の砒素量は約36 mol.%と高い.また,磁鉄鉱に伴う蛍石細脈中の初生流体包有物充填温度は500℃以上と,熱水鉱床としては高い生成温度を示す.磁鉄鉱に伴うアクチノ閃石,加水黒雲母,緑泥石も最大1 wt.%の塩素を含むことが特徴である.また,変質帯中にはミョウバン石やカオリナイトなどの酸性を特徴づける変質鉱物は伴わない. 大規模な構造線に近い地質体中に,500℃を超える高温の中性~アルカリ性変質帯があり,その中に燐灰石を伴う高純度の磁鉄鉱が産する産状は,中小坂鉱山の磁鉄鉱鉱床が酸化鉄-燐灰石(IOAもしくはキルナ)型であることを強く示唆する.また,地質状況から見て形成年代は70Maより若く,磁鉄鉱-燐灰石(IOA)型としては世界的に見ても若い鉱床形成年代を持つ可能性がある.
著者
村上 浩康 宮下 敦
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

群馬県下仁田町の中小坂鉱山は,明治初期に製鉄が行われた近代産業遺産であるとともに,高品位の磁鉄鉱鉱石を産する下仁田ジオパークのジオサイトである.今回,中小坂鉱山の鉱体では,磁鉄鉱の包有物として,少量で微細ではあるが普遍的に燐灰石自形結晶が観察された.この燐灰石は,磁鉄鉱周辺の変質鉱物と同じく塩素を含み,磁鉄鉱鉱化作用によって生じたものである.加えて,大規模な構造線に近い地質体中に,500℃を超える高温の中性~アルカリ性変質帯があり,その中に燐灰石を伴う磁鉄鉱が産する産状は,中小坂鉱山の磁鉄鉱鉱床が酸化鉄-燐灰石(IOAもしくはキルナ)型であることを強く示唆する.この日本でのIOA(Iron-Oxide Apatite もしくはキルナ)型鉱床の存在を示唆する中小坂の研究成果に加えて,酸化鉄型(IOAおよびIOCG)の鉱床は,先カンブリア時代から中生代にかけて世界各地で発見されていることを踏まえ,日本における磁鉄鉱を産する熱水性鉱床を対象とし,酸化鉄型銅・金(IOCG)鉱床存在の可能性について再検討した.まず,中小坂鉱山の近傍には,埼玉県秩父鉱山中津鉱床の含金スカルンと含塩素アパタイトを伴う磁鉄鉱鉱体 や,長野県甲武信鉱山の含金スカルンと砒鉄鉱を伴う磁鉄鉱鉱体があり,これらも酸化鉄-銅-金型(IOCG型)で ある可能性を検討する必要があると考えられる.更に,酸化鉄型(IOAおよびIOCG)の鉱床は,従来の酸化鉄メルトの固結によるとする火成起源説(所謂,磁鉄鉱溶岩説)に比べ,近年,構造帯中での高温の鉄-塩化物流体による熱水起源説が有力になりつつあり,希土類資源としても注目を集めている.今回の研究成果を踏まえ,釜石や足尾などを含めた日本国内の磁鉄鉱を産する鉱床にも対象を広げ,磁鉄鉱鉱石中の燐灰石の有無やそれらの化学組成に基づく,日本における新しいメタロジェニーを提案したい.また,これらの鉱床の形成温度・圧力,形成深度,Cu/Au含有量比を再検討した上で,日本での巨大銅鉱床発見の可能性を探る.
著者
青野 那々子 磯谷 海斗 杉山 康貴 中田 有紀 矢野 元暉
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

1.研究の背景今日、マイクロプラスチック(以下、MP とする)による海 洋の汚染が進行している。海洋生物が MP 自体と、それに付 着した有害物質を摂取すると、生物濃縮によって海鳥や人間 の健康にも影響を及ぼす可能性がある。汚染の度合いを調べ るためには MP の量を把握する必要があるが、静岡県内には その計測データが少ない。そこで、高校生でもできる MP の 検出方法を確立し、伊豆半島の周辺の海、川にどの程度 MP があるかどうかを調べた。2.研究の手順①狩野川、静浦ダイビングセンター、静浦漁 港センター、淡島、我入道(狩野川河口)、沼 津港で試料採取を行った。②それらの場所の水をポンプで汲み上げ 315 μmのプランクトンネットを用い、500L ろ過し て浮遊物を採取した。③プランクトンネットに残っていたものを ろ紙でろ過し、乾燥させた。④汲み上げたものには、MP 以外にも草、木、 プランクトンなどの有機物があるため、10% KOH水溶液でそれらを分解させるために、 2日間放置した。⑤2日後、溶液をろ過し、再び乾燥させた。⑥そのサンプルを 30%H2O2水溶液につけ 2 日間放置し、有機物を分解した。⑦2日後、溶液をろ過し、乾燥させた。⑧乾燥したサンプルを双眼実体顕微鏡下で観察し MP を探した。⑨70%NaI水溶液に試料をつけウォーターバスで 60°Cの湯煎をしながら、6 時間以上放置。⑩その後、冷却して、NaIを再結晶させた。 ⑪再結晶させたものの上澄み水溶液と、再結晶した上半分の 結晶と試料を採取した。⑫採取したものを水で薄め、ろ過をし、乾燥させた。⑬⑫をブルーライトで当て、専用眼鏡で観察した。3.研究結果地点 採取日 個数狩野川 9/4 8静浦ダイビングセンター 9/16 3静浦漁港 9/16 2淡島 10/19 2我入道 11/4 5沼津港 11/4 114.現在までの成果 学校の設備では細かすぎると観察できな いのでプランクトンネットの網目を 315μmにし MP の採取に成功した。採取した川 や海の水から有機物等を取り除き、MPを 検出しやすいサンプルを作ることに成功 した。そのサンプルから MP を検出するこ とにも成功した。サンプルにブルーライ トを当てると一部のプラスチックが発光 することが分かった。5.考察高校生でも高校にある設備で伊豆半島及び狩野川に存在す る MP を検出できることが分かった。研究結果から判断する と沼津港以外の海洋より、河川の方が検出された MP の数が 多い傾向にあることからこの地域の海洋汚染の原因は河川 からの MP の流出である可能性が高いことが考えられる。し たがって、海洋汚染を進めないためには河川にごみを投棄し ないことが重要であると考える。また、漁港である沼津港は プラスチックの使用頻度が高いことで検出数が多くなって いると思われる。MP の量は人間生活に深くつながっている と考えられる。6.今後の展望各地点ごとに、検出されたプラスチックの種類を調べる。使 用したプランクトンネットの網目が 315 μmであるため、対 象を 315 μm以下のサイズの MP まで広める。今回の計測では 台風 19 号の後に計測した値も含まれるため、試料の採取を より広範囲で、定点観測を行うようにして伊豆半島海岸域に おける MP の量や流出場所を推定する。また、ブルーライト を用いた MP の検出方法を確立させるほかにブルーライトで は反応しない MP の検出方法を見つける。7.参考文献海岸域におけるマイクロプラスチックの調査手法の確立 http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko- 510/documents/412slide.pdf8.謝辞静岡県環境衛生科学研究所 平松 祐志様筑波大学 下田臨海センター 佐藤 壽彦様
著者
栗本 享宥 苅谷 愛彦 目代 邦康 山田 隆二 木村 誇 佐野 雅規 對馬 あかね 李 貞 中塚 武
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

岐阜県北西部から中央部にかけて走る庄川断層帯は,1586年天正地震の起震断層帯として強く疑われている断層帯であり,4条の活断層から成る.その最南端部である三尾河断層の南に移動体体積が2.2×107m3の大規模地すべり地が存在する.これは伝承で「水沢上の大割れ」と呼ばれ,天正地震で生じたとされてきた.しかし,当地すべりに関する地形学・地質学的な観点からの詳しい検討はなかった.演者らは,当地すべりを水沢上地すべり(以下ML)と命名し,現地踏査と1 m-DEMデータから作成した各種主題図(地形陰影図など)に基づく地形判読と現地で採取した試料の年代測定および年代値の分析を基礎として,MLの地形・地質特性や発生時期,誘因を検討した.やや開析された円弧状の滑落崖は北東方向に開き,その直下に地すべり移動体が分布する.移動体末端の一部は直下の河川(吉田川)を越えて対岸の谷壁斜面に乗り上げる.また移動体の一部は比高40~50 mの段丘状地形を成す.滑落崖,移動体の形状はそれらが複数回の地すべりで形成されたことを示唆し,地表面には地すべりに起因する大小の凹凸地形が発達する.地すべり移動体は不淘汰・無層理の安山岩角礫と細粒の基質から成り,礫にはジグソークラックが発達する.Loc. 1の左岸側露頭では移動体構成物質中に,地すべり移動時に巻き込まれたと推定されるクロボク状表土の破片が認められる.この破片に含まれる木片2点の較正年代(2δ)はcal AD 1492~1645の範囲に及ぶ.また,地すべり移動体が吉田川を堰き止めて生じた層厚約2 mの湖沼・氾濫原堆積物も確認できる.この湖沼・氾濫原堆積物の下限の約90 cm上位から採取した直径約20 cmの丸太材の外周部の14C年代はcal AD1513~1618であり,細胞セルロース酸素同位体比年輪年代測定によってAD1615~1620頃と推定された同材の枯死年代とは調和的である.以上のように,MLの規模や地すべり移動体と堰き止め湖沼・氾濫原堆積物の層相および年代から,MLの誘因は強震動が第一に想定される.試料の年代からみて,誘因が1586年天正地震であった可能性は高まったといえる.ただし歴史地震学において提唱されている天正地震の本質から,本震と考えられる1586年1月18日の地震でMLが形成されたか否かといった問題について,なお検討を加える余地がある.同時に1596年慶長伏見地震との関係についても検討の対象となる.
著者
上田 拓 山谷 里奈 尾形 良彦 加藤 愛太郎
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

On June 18, 2019, a Mj6.7 earthquake occurred at Yamagata-oki. The source region of this earthquake is adjacent to that of the Mj7.5 earthquake which occurred on June 16, 1964, and in this region, there are few aftershocks right after the 1964 earthquake, and the seismicity rate in recent years is extremely low (Earthquake Research Committee, 2019). This observation suggests that the source region of the 2019 Yamagata-oki earthquake was not ruptured by the Niigata earthquake, but the cause has not been revealed. In order to elucidate the relationship between these two areas, this study compared the characteristics of seismicity between the two areas.We used the JMA catalog constructed by Japan Meteorological Agency (the Preliminary Determination of Epicenters). We applied HIST-ETAS (Hierarchical Space Time Epidemic Type Aftershock Sequence) model (e.g., Ogata, 2004) considering the spatial dependence of each parameter of the Space Time ETAS model (e.g., Ogata, 1998), to the hypocenter catalog (M1.8) from 1998 through 2019 in order to estimate the spatial distribution of background seismicity rate μand number of aftershock occurrences K. As a result, we find that μ-value is higher and K-value is lower in the source region of Yamagata-oki earthquake than in that of Niigata earthquake.In addition to these differences, we find that the b-value, which is one of the characteristics of the seismicity, is lower in the source region of Yamagata-oki earthquake than in that of Niigata earthquake. Moreover, comparing the seismic wave velocity structure obtained by Matsubara et al. (2019), the P wave velocity is lower in the source region of Yamagata-oki earthquake than in that of Niigata earthquake.The difference in seismic wave velocity and characteristics of seismicity between these two areas suggests that the macroscopic behavior in the source region of Yamagata-oki earthquake is more ductile than in that of Niigata earthquake. In more ductile area, microfracture is likely to proceed and it decreases seismic wave velocity. In addition, background seismicity rate (μ) decreases in more ductile area because of low brittleness. Moreover, the results of rock experiments and numerical simulation by Amitrano (2003) imply the increase in aftershock productivity (K) and the decrease in b-value in more ductile area. Focusing on the short-wavelength component of the linear strain rate distribution in the east-west direction (Meneses-Gutierrez and Sagiya , 2016), the different response for the 2011 off the pacific coast of Tohoku earthquake between the source regions of Yamagata-oki earthquake and Niigata earthquake is appeared. These differences may reflect different deformation styles between the two regions.
著者
加藤 翔太 西田 究
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

地震波干渉法は2観測点で観測された地震波形記録の相互相関関数を計算することにより、片方を仮想的な震源とし、もう片方を観測点とした場合の観測波形を推定する手法である(e.g. Snieder et al., 2013)。地震波干渉法解析では、地震波動場がランダムかつその強度分布が等方・均質であることを仮定する。ランダムな波動場として海洋波浪起源の脈動を解析に用いる場合には、周期5-20 sの帯域で表面波が卓越することが知られている。そのため、脈動を用いた地震波干渉法は地殻・上部マントルの3次元構造の推定に適している(e.g. Shapiro et al., 2005)。近年では、表面波だけではなく実体波の抽出が試みられている。その一例として、マントルの410/660 km不連続面からの反射P波の抽出が報告されている(Poli et al., 2012, Feng et al., 2013)。しかし、これらの反射P波を抽出した先行研究の対象地域は大陸に限られていた。本研究の目的は、防災科学技術研究所Hi-netの上下動記録に地震波干渉法を適用することにより深さ410/660 km不連続面からの反射P波を抽出し、日本列島下の不連続面をイメージングすることである。本研究では以下の手順で各観測点ペアに対する相互相関関数を計算した。用いた波形記録は防災科学技術研究所Hi-net観測点のうち西南日本に存在する240点の上下動記録(2007年-2018年)である。まず、Hi-netの上下動記録を2 Hzにダウンサンプリングした。その上で各観測点について翌日の観測波形との差を計算して元の観測波形の代わりに用いた(高木ほか、2019)。これは、Hi-netの機器ノイズ(Takagi et al., 2015)の相互相関関数への影響を抑えるためである。次に、得られた1日長の波形を1024 sの時間窓に分割し、周期5-10 sおよび10-20 sの平均2乗振幅によって時間窓を選択した。選択した時間窓について周波数領域で白色化を行い、周期1-10 sの成分について全観測点ペアの相互相関関数を計算した。まず4-th root vespagramを全観測点ペアに対する相互相関関数について計算した(Rost and Thomas 2002)。その結果、410 km不連続面の反射P波がオフセット距離0-300 kmで見られ、660 km不連続面の反射P波はオフセット距離50-100 kmで見られた。また、660 km不連続面の反射P波は410 km不連続面の反射P波に比べて弱いことがわかった。次に、得られた反射P波を不連続面の深度に変換するため、Common Middle Point (CMP)重合を行った(e.g. Stein and Wysession, 2003)。具体的には、オフセット距離が500 km以内の各観測点ペアについて反射点の位置でグループ分けを行い、各グループに対して不連続面が水平と仮定しCMP重合を行った。速度構造はJMA2001(上野ほか、2002)を用い、深度推定は410 km不連続面についてのみ行った。その結果、地域ごとに410 km不連続面深度の変動が見られ、特に東経134°-135°北緯33°-36°に反射点を持つグループでは不連続面が上昇している結果が得られた。これは、従来の地震波を用いた不連続面深度に関する研究(Tonegawa et al., 2005, Tono et al., 2005)と整合的である。本研究では地震波干渉法により西南日本の410 km不連続面深度の推定を行った。今後は用いる観測点を増やして対象領域を日本全国へと拡大するとともに、今回扱わなかった660 km不連続面の推定も行う予定である。謝辞:本研究では防災科学技術研究所のHi-netの上下動記録を用いました。記して感謝いたします。
著者
芝原 暁彦
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

近年、古生物学に関するエポックメイキングな研究成果が相次いで発表されている。例えば始祖鳥は、走査型電子顕微鏡による分析で、メラノソームと呼ばれる細胞小器官の痕跡が化石から発見されたことにより、少なくとも一部の羽毛は黒色であった可能性が示唆されている。同様に、複数の羽毛恐竜でも部分的に羽毛の色が推測されており、これまでの復元図では推測で描くしかなかった古生物の「色」についても、極めて部分的にではあるが統一できる可能性があり、科学教育やアウトリーチ分野にも影響しはじめている。 また日本各地における化石研究も精力的に続けられており、日本地質学会が2016年に作成した「県の石」リストでは化石の項目が設けられ、各県を代表する古生物が取り上げられるなど、国内における古生物の多様性を反映した教育コンテンツが続々と整備されている。こうした傾向を、今後の学校教材でどのように反映させていくかを考察したい。 また地質標本館が所蔵する鉱物・岩石・化石の標本写真は、政府標準利用規約2.0にもとづき「地質標本データベース」として公開されており、出典元を示すことで教材としての柔軟な活用が可能となっている。こうした良質なオープンデータについての紹介と、実際の利用方法についても実例を交えながら紹介し、新しい地球惑星科学教材の可能性について幅広く議論したい。
著者
山谷 里奈 望月 公廣 悪原 岳 西田 究 市村 強 藤田 航平 山口 拓真 堀 高峰
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Off Ibaraki region is located at the southern end of the focal area of the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake (Tohoku Earthquake). A dense network of 32 ocean bottom seismometers (OBSs) was deployed at this region with a station interval of about 6 km from October 2010 (11 OBSs started from February 2010) to October 2011. A large number (> 10,000) of aftershocks following the 2011 Tohoku earthquake were detected by this network. However, precise determination of these hypocenters and focal mechanisms is challenging due to uncertainties of seismic properties of thick sediment layers beneath the seafloor. The P-wave velocity structure has been reasonably constrained by active-source seismic surveys (Mochizuki et al., 2008), but the S-wave velocity structure is still unrevealed despite its importance.To constrain the S-wave velocity of the shallower portion, we apply the ambient noise interferometry to the short-period OBS data in this study. After dividing the data into ten-minute segments, we deconvolve the data with instrumental response function, remove trends, and discard data dominated by seismic events. Then, we apply a one-bit normalization and spectrum whitening. Finally, we calculate cross-correlations for vertical-vertical, radial-radial, and transverse-transverse components to retrieve Green's functions.We measure average phase velocity in the array using spatial auto-correlation method (Aki, 1957; Nishida et al., 2008). The phase velocities of the fundamental Rayleigh, the first-higher Rayleigh, and the fundamental Love modes are 0.5 to 2.5 km/s (in the frequency range of 0.1 to 0.3 Hz), 0.8 to 1.5 km/s (0.17 to 0.3 Hz), and 0.5 to 2.0 km/s (0.25 to 0.1 Hz), respectively. Next, we infer the 1-D average S-velocity isotropic structure by non-linear inversion, whose sensitivity is mainly ~5 km. The results show ~1000 m thick sediment with S-wave velocity of 300–1000 m/s immediately beneath the seafloor. At last, we apply band-pass filter with frequency range of 0.125 Hz and measure travel-time anomaly of the phase velocity in each frequency range, following Nagaoka et al. (2012). We apply non-linear inversion (Rawlinson & Sambridge, 2003) and find low-velocity anomalies in the deeper of the northern part and in the shallower of the center part.
著者
及川 輝樹 中野 俊
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

長野・新潟県境に位置する白馬大池火山は、約80万年前に活動を開始した火山であるが、完新世には噴火活動を行っておらず、現在は活動を停止している火山であると考えられてきた。今回、白馬大池火山を構成する風吹大池火山にて、完新世である最近1万年間に噴火した証拠が発見され、活火山の条件を満たすことが判明した。 風吹火山は、白馬大池火山の北東部に位置する火山である。白馬大池火山は、白馬大池を含む南側を中心として約80~17万年前に活動を行ったが、約7万年前以降は北東部の風吹岳および風吹大池周辺地域が火山活動の中心となった(及川ほか,2001;中野ほか,2002)。そのため、白馬大池火山を細分して、7万年前以降に活動した北東部の火山については、風吹火山とよぶ。 風吹大池周辺には、いくつかの浸食をあまり受けていない、新鮮な地形をなす火口が複数あるため、比較的最近も噴火活動があった可能性が指摘されてきたが、火口の形成年代などは不明であった。これら火口のうち、風吹大池の北東側に隣接した、風吹岳と備前倉山の間には、西端を小敷池とした東西に長く伸びた火口列がある。その火口列の周辺の表層土層中に、火山岩塊からラピリが混じる、粘土質テフラ層を発見した。このテフラ層は、火口列に近づくと粗く厚くなり、離れると薄くなるような分布を示すため、その火口列から放出されたものと推定される。また、明らかに本質物と考えられる粒子が含まれないことから、本テフラ層をもたらした噴火は水蒸気噴火であったと判断した。本テフラ層の直下の土壌のヒューミンに対して14C年代測定を行ったところ、約4000年前(yr BP)の値が得られた。また、本テフラの下位に位置する風吹大池火山最後のマグマ噴火の噴出物である風吹岳火砕流堆積物(柵山,1980;中野ほか,2002)中には、噴火休止期を示す土層が挟まれる。その土層中の炭質物から約8800年前(yr BP)の年代を得た。これらの結果から、風吹火山は、完新世にマグマ噴火および水蒸気噴火を行ったことが明確となった。なお、風吹大池の周辺には、いくつかの湿原が広がるが、それら湿原の形成は、本テフラ層より後に形成されたことが、層位並びに14C年代測定から判明した。それらの湿原の堆積物中にも水蒸気噴火テフラの疑いのある、白色粘土層が数枚挟まれることから、風吹火山は約4000年前以降も複数回の噴火活動を行った可能性がある。文献:及川ほか(2001)火山,46,21-25. 柵山(1980)地質学雑誌,86,265-274. 中野ほか(2002)5万分の1地質図「白馬岳」地質調査総合センター.
著者
山内 啓之 小口 高 早川 裕弌 瀬戸 寿一
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

We have been conducting a project to develop GIS exercise materials for Japanese university students. In this project, we distribute the materials on the Internet via GitHub. The learning contents in the materials are divided into four sections according to the target of learning: 1) basic operations of GIS software, 2) equipment usage for field data collection, 3) utilization of Web GIS, and 4) GIS programming with Python. Explanation of GIS analyses in the materials consists of short text descriptions and screen-captured images showing data processing using free GIS software packages such as QGIS. We also provided sample data compiled from open data for the exercises. Users can learn GIS using the materials with free of charge. The online materials have been utilized in not only universities but also industries, governments, and groups of citizens in Japan. In this presentation, we introduce the construction and operation of the materials, and demonstrate how they worked in the community.
著者
佐藤 洋太 藤田 耕史 井上 公 砂子 宗次朗 坂井 亜規子 對馬 あかね Podolskiy Evgeny A. Berthier Etienne Kayastha Rijan
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Glaciers in High Mountain Asia are valuable indicator of climate change, and their meltwater have an important role for the regional water resources (e.g. Pritchard, 2019). We thus need to estimate Himalayan glacier fluctuation. However, the lower part of large Himalayan glaciers is generally covered with debris mantle, which makes the melting process complicated. Several previous works pointed out a role of ice cliffs that promote local enhancement of the ice melting (e.g. Sakai et al., 1998; Brun et al., 2018). The ice cliff’s spatio-temporal distribution and their dynamics (evolution and decay) are important to understand debris-covered glaciers melting process.In this study, we generated high resolution digital elevation models (DEMs) and orthomosaic images from aerial photographs taken at four different times at the Trakarding glacier, Nepal Himalaya in order to trace ice cliff dynamics.In-situ observations and aerial photogrammetry surveys were carried out in 2007, 2017, 2018, 2019 post-monsoon seasons over the entire debris-covered area. These photographs were analyzed using Structure from Motion technology and created high resolution (0.2 - 2.0 m) terrain data. From each image, about 500 ice cliffs were extracted and analyzed these ridge lengths, slope areas, gradients, aspects and spatial distributions.DEM differencing indicate that the surface mass balance has been strongly negative (-1.65 m w.e. yr-1) from 2007 to 2019. Spatially, we observed that the more significant surface lowering happens, the higher cliff density is remarked. The result suggests the ice cliff locally enhances glacier melting. In addition, a significant correlation between ice cliff length and its slope area was observed, which means that it is possible to estimate the slope area of cliff from the cliff length using coarser satellite data. Analysis of ice cliff aspect elucidated that north-west facing ice cliffs are predominant. And their aspects had heterogeneous distribution. Finally, we estimated ice cliff dynamics and its mechanism from the results of spatial cliff density, aspect and elevation change analysis in Trakarding Glacier.
著者
土山 絢子 平 貴昭 中島 淳一 Roland Bürgmann
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Low-frequency earthquakes generally have relatively stronger spectral components in the lower frequency range, compared to what is expected based on their magnitude. This type of earthquakes has been considered to be generated in some specific environments, such as volcanic regions and subduction zones that are also generating slow slip events and tremors. They usually occur in deeper regions below ~ 15km; however, some recent studies show that they can also be observed among aftershocks of large inland earthquakes in Japan (i.e., Niigata in 2004, Iwate-Miyagi in 2008, Kumamoto in 2016) with very shallow depth (~5km). Here, we attempt to detect such ‘low frequency aftershocks’ associated with a very recent earthquake sequence that occurred in Ridgecrest in California in 2019 on the source of waveform data from Plate Boundary Observatory Borehole Networks and nearby instruments archived at NCEDC, SCEDC and IRIS. We are considering The Frequency Index (FI) as a way to identify candidate events. FI is defined as: FI = log10(AH/AL), where AH and AL represent the mean spectral amplitude within the high-frequency band (e.g., 10-15 Hz) and low-frequency band (e.g., 2-5 Hz), respectively. We will discuss our results and the methods used to identify low frequency aftershocks from their spectra.
著者
土山 絢子 中島 淳一
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Generation mechanism of deep earthquakes in subduction slabs is still enigmatic. Through cross-correlation analysis of earthquakes in central Japan, we identify five pairs and one cluster of deep earthquakes showing strong waveform similarities (coherence > 0.9) for a 40-s time window at more than three stations. For those clusters, we relocate hypocenters by hypoDD, determine the focal mechanisms solutions, and carry out spectral analysis to estimate physical parameters of seismic ruptures (i.e., stress drop, radiated energy and efficiency). The obtained results show that some similar deep earthquakes in each cluster occurred at a slightly different spot on a single fault and have almost the same stress drop. The scaled energy and radiation efficiency of the groups precisely estimated from high-quality similar waveforms show that seismic parameters are significantly different between faults. A wide range of source parameters that have been reported for deep-focus earthquakes may not represent the differences in generation mechanisms of earthquakes but reflect the diversity of inherent fault frictional properties.
著者
中村 亮一 石瀬 素子 杉森 玲子 佐竹 健治
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

1. はじめに1855年(安政二年)安政江戸地震の深さは,未だよく分っておらず,太平洋プレートで発生した深い地震とするものから極浅い地殻内地震であるという説まで様々ある.その根拠は震度分布の他,史料から推定されるS-P時間がある.後者のS-P時間については,歌舞伎役者中村仲蔵の記述が有名である.萩原(1990)はこれに基づき10秒程度と読取り~100kmの深さとした.中村・他(2003)は仲蔵史料に他の記事も含め5-10秒としフィリピン海プレート内の地震と推定した.宇佐美(1983)は,仲蔵の記事から3-5秒と読み取った.これによると前の2研究よりも浅い地震となる.これらいずれも,「日本地震史料」(武者,1951)に記載された内容から推定されたものである.これに対し我々は今回「日本地震史料」の記述とは異なる記載の仲蔵自筆の原本(崩し字)が国会図書館古典籍室に存在することを明らかにした(以降「国会本」と称する).これは2018年8月9日に国会図書館に古書店から納品されたものである.郡司(1944)によると仲蔵の自筆本は散佚したとされているが,「国会本」は,その一部である可能性がある.本発表は,この発見を報告するものである.2. 中村仲蔵記事の資料間の比較 中村仲蔵の記事は,上述「日本地震史料」と「国会本」の他,『手前味噌』という題目で「歌舞伎新報」(明治十二年創刊:ブリタニカ国際大百科事典.国会図書館で閲覧可能)に掲載されている.「国会本」は全16冊あり第9冊と第10冊に安政江戸地震のことが書かれているが,両者の記述内容は異なっている.すなわち中村仲蔵による安政江戸地震の記述が4種類存在することになる.「国会本」の翻刻は著者の一人である杉森により行われてきている.その第9冊と「日本地震史料」のS-P時間の推定に該当する記載部分を表1に示す.この太字部分が異なっている.最初の部分を見ると「日本地震史料」では地面が下から持ち上がる「動き」が描かれているのに対して,「国会本」第9冊では「音響」が描かれていることがわかる.音響としては地鳴りや建物の振動等によって生じたもの等が考えられるが,安政江戸地震では地鳴りが記述されている史料が他にも多くあることから地鳴りの可能性が高い.さらに,「日本地震史料」と「国会本」第10冊および「歌舞伎新報」の記載内容は似ている一方,これらと「国会本」第9冊とは異なることがわかってきた.「歌舞伎新報」の記事は,仲蔵自筆の記録を基に,狂言作者久保田彦作が補綴・省略し掲載されたということである.実際,「歌舞伎新報」は読み手がいることを意識した書き方がなされている.また,これら4種類の史料が書かれた年代については,記述内容の分析から,「国会本」第9冊は他の3史料よりも以前に書かれたものである可能性が高いことがわかった.「国会本」第9冊は一次史料に近い(地震発生時により近い時期に作成された)ものと考えられ,今後,地震の検討を行う際には,「国会本」第9冊の内容を用いることが望ましい.3. S-P時間推定に与える影響「日本地震史料」と「国会本」第9冊は,音響(地鳴り)から始まるか,動きから始まるかの違いがあった(表1).地鳴りはP波の振動が空気に伝わり生じたとするとP波到達時刻推定には大きな影響がないと考えられる.一方,S波主要動については,「日本地震史料」では歩き出すと揺れはじめたことが記されているのに対して,「国会本」第9冊では立ちあがると揺れはじめとなっていて,これからS-P時間は若干短くなると考えられる.また,大きな地震では,震源の破壊開始からいわゆる強震動発生領域(SMGA)に達するまでに時間遅れがあることが知られ,その場合はS波初動の振幅が小さく,大きく揺れ出すまでに時間がかかることがある.つまり,実際のS波到達と体感でのS波到達時時間差が生じると考えられる. これらのことを踏まえると,実際のS-P時間は,これまでよりも短くても説明が可能と考えられる.4. S-P時間から考えられる深さ S-P時間が仮に5秒として全国を対象としたJMA2001走時表を用いると,震央距離が20kmの場合の震源深さは40kmとなる.しかし,厚い堆積層に覆われた関東地方では,JMA2001走時表を用いた震源より浅くなると考えられる.どの程度浅くなるかを検討するため,図2に仲蔵が被災した両国からさほど離れていないK-NET猿江(TKY021)で観測されたS-P時間が5秒の地震波形を示す.これは羽田沖の深さ23㎞(2015/12/26,M3.4, 震央距離20 km)の地震であり,この程度の深さである可能性も考えられることがわかる.
著者
矢部 優 今西 和俊 西田 究
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

In order to deal with COVID-19 pandemic, social activities have been reduced around the world. Tokyo metropolitan area is no exception, where more than 30 million people live. Self-restraint was requested in various situations by local and Japanese governments, which drastically changed our life. Working from home or layoff was introduced in many companies. Shopping malls were closed. The movement of people was reduced, and economic activities stagnated.A part of noise observed by seismometers is due to human activities including transportations and machine vibrations. It is well known that seismic noise level in the daytime is higher than in the nighttime. The social activity reduction for COVID-19 is expected to decrease seismic noise in a different way from regular pattern, which would provide us a good opportunity to improve our understanding of seismic noise. Better understanding of seismic noise may also provide us a new way to monitor human activities using seismic observations. This study investigated continuous record of seismic stations in Metropolitan Seismic Observation network (MeSO-net) maintained by National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience (NIED). Seismic stations of MeSO-net are settled at the bottom of shallow borehole (~20 m) in the Tokyo metropolitan area. We measured hourly seismic noise level and compared its temporal changes with a timeline of COVID-19 in Tokyo metropolitan area.We observe two types of seismic noise reduction associated with different causes in MeSO-net stations. The first one is often observed in frequency bands higher than 20 Hz. This seismic noise reduction started at the beginning of March 2020. This timing corresponds to when Japanese government closed schools. As many MeSO-net stations are settled in school property, human activities there are considered to influence seismic records of MeSO-net stations strongly in a high frequency band. The second seismic noise reduction is often observed in lower frequency band between 1-20 Hz. This seismic noise reduction started on April 13th 2020. This timing corresponds to the first beginning of week after the Japanese government declared a state of emergency in Tokyo metropolitan area on April 8th 2020. Seismic noise reduction in lower frequency band is expected to be related with stagnated economic activities, such as decreasing transportations and closing buildings or factories.
著者
八代 昌樹 田口 晃 千原 鋭思 宮澤 克彰 山田 有純
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

このプロジェクトはハーバード大学教授の石井水晶先生が日本の高校生に協力を求めたものである。同大学で開発されたDegitSeisソフトフェアを用い、アナログ地震計記録をデジタル化するという作業だ。これによってデジタル化された地震計記録は、地震学や自然科学の研究に寄与され、様々な場面での利用が期待される。私たちは今後の研究や社会に役立てばと思い、このプロジェクトに参加した。
著者
Shino Suzuki
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Almost all the microbial ecosystems on present-day Earth are supported by photosynthesis including the subsurface biosphere. Organic carbons from the photosynthesis have been accumurated and delivered into the deep subsurface ecosystem. Oxygen and oxidative compounds also have distributed everywhere on the Earth through the water and contributed to creating chemical gradients that can support microbial energy metabolisms. Therefore, opportunities are rare to address microbial ecosystems that are isolated from the effects of photosynthesis, but those are canceled in several settings, one of which includes a serpentinized ecosystem.Serpentinization is a process whereby water interacts with reduced mantle rock called peridotite to produce a new suite of minerals (e.g., serpentine), a highly alkaline fluid, and hydrogen. The hydrogen and carbon dioxide present in the system are thought to react under the highly reducing and alkaline conditions, leading to the formation of methane and hydrocarbons and the concomitant production of carbon monoxide, formate, formaldehyde and methanol. Given that the reduced compounds delivered from the water-rock reaction can support microbial energy metabolisms, such serpentinization systems have been viewed as potential habitats for early life or the other planetary bodies. Studies of serpentinizing environments to date have shown that these ecosystems host extremely low-abundance microbial communities, which is presumably attributed to the multiple extremes: 1) the highly-alkaline condition of the fluid; 2) the extremely low concentrations of oxidants (electron acceptors); and, 3) the low levels of and nutrients (available carbon and phosphate). The Cedars located in northern California is one of the active terrestrial serpentinization sites. While there are about a hundred of springs in The Cedars area with a variety of differences in geochemistry (Figure 1), spring waters discharged from The Cedars generally have extremely high pH (11-12), very low Eh (−900 mV - −550 mV) values and are rich in Ca2+ (~1 mM), hydrogen and methane gas, and contain low levels of dissolved organic carbon, total inorganic carbon, ammonium, phosphate and electron acceptors (oxygen, nitrate, sulfate)Here I present a diversity of unusual metabolisms and life strategies seen in the early Earth or other planetary bodies’ analogue sites, those of which have been identified through the studies of geochemistry, microbial cultivation, genome centric metagenomics of The Cedars microbial communities. Furthermore, I discuss the constraints and driving forces lying in the deep subsurface serpentinized settings to make a living.
著者
内出 崇彦
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Focal mechanism is one of earthquake source parameters that characterizes the fault geometry and the slip direction, which also implies the seismogenic stress field. In many areas in the world, focal mechanisms are routinely estimated only for earthquakes larger than a certain magnitude, such as M 3 in local cases. For better estimation of the crustal stress field, we desire a much richer focal mechanism catalog. The focal mechanism determination requires us to pick P-wave first-motion polarity, which is usually done manually and therefore time-consuming.In this study, we construct a neural network model, whose input is three-dimensional seismogram and output is the P-wave first-motion polarity. We adopt a simple convolution network as done by prior studies (Ross et al., 2018; Hara et al., 2019). We used NIED Hi-net seismograms with P-wave arrival times in the JMA Unified Earthquake catalog. The seismograms were highpass-filtered at 1 Hz to and clipped at a certain level. By flipping the vertical component and rotating horizontal components, we augmented the data. We also prepared models with three, four, and five convolution layers followed by two fully connected layers. The clipping level, the number of the data augmentation, and the number of convolution layers are chosen according to their performance to a test dataset. ~ 280 k of seismograms are used for the training.Finally, we applied the trained model to ~180 M of seismograms from ~110 k of inland microearthquakes with depths smaller than 20 km in Japan. We succeeded in determining the focal mechanisms of more than 99 % of the earthquakes.