- 著者
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種子 彰
- 雑誌
- JpGU-AGU Joint Meeting 2020
- 巻号頁・発行日
- 2020-03-13
科学の目的は,宇宙の全ての謎を説明することである。これまで、科学法則 と真理は帰納法と演繹法によって探求されてた。起源の探求は時間を遡ることがでないので、初期状態が不明であった.起源の探究には創造的推論と評価が重要である.それは進化の結果で評価するアブダクションという手法です。具体的には画期的なモデルを提案して,それで一度限りの進化の複数結果(特徴)を統一的に全て説明する。巨大衝撃(GI)仮説モデルでマントルだけの月となるには、30度の特別な角度でVx=7km/sの速度で偶然地球に接線方向に衝突する必要がある。計算された月軌道エネルギー(3×Re)は実際の月の1/20に過ぎず、(GI)仮説は検証できなかった. これは月形成モデルの新仮説です.ジャイアントインパクトGIモデル(火星サイズの分化した原始惑星)の代わりに,月サイズの分化したマントルだけの衝突体(MI)を想定した.地球は半径の半分がコア(Fe+Ni)であり,その外側はマントルで覆われている.月がマントルだけでできていると云う発見は大きな特徴である.GI仮説でもその特徴を再現する為に,色んな角度や速度を仮定して破片にコアが含まれないで凝集するメカニズムを苦労して計算し,特別な条件を探しだした.しかし月の軌道エネルギーは現状の値の1/20しか満足出来なかった.地球に与える衝突エネルギーは,GIがMIに比べて約2.5倍も大きい.そこでGIモデルの衝突では地球は完全にコアまで変形するが,MIモデルの衝突では,無傷のコアと地球マントルの欠損とマントルだけの月の射出となる.MI仮説で,必然で月サイズのマントルインパクターが形成されるために,太陽系の観察を行ったところ,ボーデの法則の小惑星帯位置に惑星が欠けているという特徴が有った.その欠けた惑星が偶然の衝突で破壊されたと仮定すると,その破片は四方に飛び散って凝集できない.「必然衝突のアイデア」 (コア+マントル→マントルだけのインパクター)ヒントはシューメーカーレビ第九彗星であり,木星に一列の痕跡を残し,潮汐断裂の良い手本を示してくれた.問題は,円軌道のCERRA(セレス位置の火星サイズ原始惑星)が潮汐断裂する楕円軌道になるメカニズムである. セラの外周に誕生した巨大質量のガス惑星の摂動で,セラの角運動量は木星に吸い取られてセラの軌道を偏平化させた.軌道エネルギーが一定の法則の状態で,太陽と木星の引力が互いに釣り合う位置でセラは潮汐力により断裂し,マントル破片は列車の様に一列に並んで,同一楕円軌道を周回する.地球との衝突は、会合周期毎に此の楕円軌道と地球軌道の交点で発生する.理論計算により得られた衝突速度と角度は,12.4 km/sおよび36.4度である.衝突速度は第二次宇宙速度11.2km/sより大きいが,反発係数を考慮すると現在の月軌道位置60×Reが簡単に計算できた.地球のマントルは中心に近いほど高密度であリ,射出された地球マントル片は,偏芯していて地殻熔融マントルで外面が被覆されている.しかし,隕石重爆撃期に衝突し形成されたクレーターは,表面では内面の玄武岩質が再溶融し流出すると,黒い月の海と成る.裏面は同じ安山岩質の角礫岩なので海が出来ずに月の沙漠となる. 射出された月は偏心しており、地球と偏芯した月が共通重心を中心として互いに回転する.重い側(表面)は共通重心に近い位置が安定している.そこで表面は常に地球に面しているため、裏側は地球からは見えない.地球の起源も同様にMIで全て説明出来た.この「マルチインパクト仮説」では、更に地球の起源として[地球の深海洋底][プレート境界][プレートテクトニクス][駆動力][プレート移動方向の急変][プレート相互の重なり開始][還太平洋弧状列島・背弧凹海盆・海溝][南極大陸の停止][トランスフォーム断層][平川層][バンアレン帯の偏芯][地球磁場反転][地軸の傾斜][生物種大絶目]が説明できた。太陽系の起源として、[フィーデングゾーン][小惑星帯][分化した隕石][ラブパイル小惑星の分化した材料][木星の大赤斑][冥王星のマントル][水星のコアリッチ]も統一的に説明できた.特に,[月の軌道エネルギー]や[マントル断裂片の衝突速度と角度]が,理論から数値が出せたことと、[月の偏芯][月の海が表面に集中する理由][月が表面を常に地球を向く理由][キンバーライトパイプの形成理由]なども統一的に説明できて、冥王代のミッシングリンクの解明に役立った.アブダクションで完全に検証できたと云える.詳細"はS-IT25(26日A05),M-IS22(May 24,201B)にも投稿済.