- 著者
-
中川 和之
- 出版者
- 日本地球惑星科学連合
- 雑誌
- JpGU-AGU Joint Meeting 2017
- 巻号頁・発行日
- 2017-03-10
2015年8月15日、桜島南岳直下に約200万立方メートルのマグマが貫入し、気象庁が噴火警戒レベルを4に上げた。当時は、現象面としては、なにも起きていなかったが、鹿児島市長は、レベル4の段階で一部の地域に避難勧告を出すとともに、一大イベントだった花火大会の中止を決めた。その判断根拠となったのは、気象庁が資料提供した傾斜計のグラフだった。日頃、専門家からマグマの移動を示す傾斜計の変化について説明を受けていた市長が、そのデータの変化の様子から、「最悪、集団移転も考える事態まで想像」し、決断をした。結果的に噴火せず、観光関係者からは非難された。噴火に至る以前の危機的な状況を、関係者がどのように判断して対応をしたのか、当日の朝から、市長や鹿児島市の防災担当者、研究者、気象庁関係者らのヒヤリングを元に、報告する。