- 著者
-
萬年 一剛
- 出版者
- 日本地球惑星科学連合
- 雑誌
- JpGU-AGU Joint Meeting 2017
- 巻号頁・発行日
- 2017-03-10
現行の降下火山灰のシミュレーションコードは、いずれも火口から垂直に上昇する噴煙柱を仮定している。この仮定はシンプルではあるが、実際の噴煙柱は風の影響を受けて曲がり、その効果は弱い噴煙ほど大きい。このため、どちらかと言えば弱い噴煙を対象としている現行の移流拡散モデルでは、強い風の環境下で発生した噴火における降下火山灰の分布を再現できない。広く利用されている移流拡散モデルに基づく降下テフラシミュレーションコードTephra2もその例外ではない。 最近、風による噴煙柱の曲がり方の定式化が試みられてきている。今回、Woodhouse et al. (2013)に基づき、風の影響を取り入れた改造版Tephra2(仮称Windy Tephra; wt)を開発したので報告する。 Woodhouse et al. (2013)では、風がある環境下で、噴煙中心の座標、噴煙の径、上昇速度、温度などを計算できる。一方、Tephra2では粒度別、噴煙高度別に、地表における分布中心の座標が計算される。wtはWoodhouse et al. (2013)による各高度の噴出中心の座標に、オリジナルのTephra2で計算される落下開始地点を原点とした分布中心の座標を足して、地表における分布中心の座標を求めた。また、Tephra2では地表における粒子の拡がりは、噴煙径と落下中の拡散の和として表現されるが、wtではこの噴煙径をWoodhouse et al. (2013)のものにした。 発表では新燃岳2011年噴火を例に、実際の堆積物分布とwtにより計算された堆積物分布の比較検討を行う。