著者
佐倉 統 福住 伸一 中川 裕志
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

この論文の目的は,人とAIが一緒に写っている写真を対象にしてそれらの構図を分析すること(図像分析)が,人−AI関係の文化的相違の解明に資すると示すことである.試行的に得られたインターネット上の画像から,日本由来の写真では人とAI/ロボットは横並びに位置してこちらを見ていることが多く,欧米由来の写真では人とロボットがお互いに向き合っている構図が多いことがわかった.共視論研究(北山,2005)によれば,日本の浮世絵の母子像は何か別の物(第三項)を一緒に注視していることが多く,西洋の絵画ではこのような共視は少ないという.このような“共視”は人では生後9か月から見られるようになる.浮世絵の母子関係と同じパターンが人−AI関係にも見られるのだとすると,それはAIやロボットが人間の子供と同じく何物か(第三項)を共同注視することのできる存在,それだけの認知能力をもった存在として日本では無意識に認知していることを示唆する.欧米ではAI/ロボットはもっと人に従属する存在として位置づけられているのではないか.今後より体系的な図像分析をおこない,東アジア内での国際比較(日韓台)をおこなう必要がある.

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