著者
佐倉 統 平石 界 池田 功毅 中西 大輔 横田 晋大 三浦 麻子 小森 政嗣 松村 真宏 林 香里 武田 徹
巻号頁・発行日
2013-10-21 (Released:2013-10-24)

今年度は当プロジェクトが本格的に始動した年度である。最初に全体研究会をおこない(2014年5月)、共通認識を醸成した(「放射能」に対する懸念や恐怖感は地域によらない可能性がある、欠如モデルによるリスクコミュニケーションは逆効果、など)。全体研究会は9月と11月にも行なった。11月は福島大学の研究者との合同研究会をおこない、放射線測定活動を続けている地域の方々と、食品の小売り店を訪問し、生活者から見たときの放射能汚染とそれをめぐる「風評被害」の影響について意見交換をおこなった。行動免疫班は、放射能関連リスクならびに、それ以外のリスク要因に対する認知、感情、ならびに情報源への信頼について、2月(非放射能関連リスク)と3月(放射能関連リスク)の2回に分け1600名に対するWeb調査を実施した。放射能関連リスクについては認知と感情の関連が強く、またいかなる情報源も信頼されていないことが示された。ソーシャルメディア班は震災時に流布したデマツイートを見たユーザのうちどういう人が「RTした(しなかった)」か、その特徴を、ユーザのネットワーク特性によって分析した。分析は今年度はまだ途上であるが、恐怖心を抱いているとRTの回数が多いことが示唆されている。社会実装班は、過去の病気の比較やマスメディアの動向を調査すると同時に、原発震災後の政治的ガバナンスの問題点を論じるシンポジウムをおこなった。演者として事故直後に政権の内部から対処に当たった政治家やアメリカから当時派遣された専門家も含め、日本の危機管理体制の問題点を浮き彫りにする論点が出された。年度繰越し分の研究費によって、これらの成果の一部を国際学会で発表し、また、被災者対象保養キャンプの参加者の放射能汚染の認識を調査した。
著者
杉山 幸丸 三谷 雅純 丸橋 珠樹 五百部 裕 ハフマンマイケル A 小清水 弘一 大東 肇 山越 言 小川 秀司 揚妻 直樹 中川 尚史 岩本 俊孝 室山 泰之 大沢 秀行 田中 伊知郎 横田 直人 井上(村山) 美穂 松村 秀一 森 明雄 山極 寿一 岡本 暁子 佐倉 統
出版者
京都大学学術出版会
巻号頁・発行日
2000-09

食う-食われる,エネルギー収支,どうやって子孫を残すか……サルたちはさまざまな生物的・非生物的環境とどのように関わりながら暮らしているのだろうか.本書によって,霊長類社会の研究者はその社会の生物学的背景をより深く理解でき,他の生物の生態研究者は霊長類における生態学的研究の最前線に触れられる.
著者
林 衛 加藤 和人 佐倉 統
出版者
裳華房
雑誌
生物の科学 遺伝
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.30-34, 2005-01

科学コミュニケーションとは何か,それがいままでの「科学普及」や「科学啓蒙」とどう違うのか,なぜその概念が有効なのか,とくに生命科学でこれを考えることの意味をさぐるのが,本特集のねらいである.科学をいままで以上に深く考え楽しみながら,専門家と非専門家,あるいは一般市民がつながりをもって社会の中に本当に必要な科学を育んでいけるようになるために,いま双方向・多方向の科学コミュニケーションが求められている.そのためには,情報を共有し,交流をしながら,研究者も一般市民も同時に高まっていけるしくみが必要だ.
著者
佐倉 統
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.107-113, 1993-12-25 (Released:2009-09-04)
参考文献数
43
著者
佐倉 統 福士 珠美
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.18-27, 2007-09-20
参考文献数
31
被引用文献数
1 or 0

近年、脳神経科学における高次脳機能画像の研究や脳-機械インターフェイス(BMI,BCI)などが普及することにより、極端に言えば「誰でも脳を研究できる」ようになった。その結果、非医療系研究者のおこなう実験において、脳に器質的な疾患が偶発的に発見される可能性が高まっている。医療行為に従事する資格を持たない研究者が直面するかもしれないそのような事態に備えて、非医療系基礎研究に関する倫理体制の整備が必要である。また、脳の情報はゲノム情報やその他の生理学的情報に比べると、一個人の精神活動に直接関係する度合いが高いという特徴をもつ。すなわち、社会においては脳といえば意識や自我、人格などと密接な関係にあるものとして位置づけられている。しかしこれらのトピックについて、そのような社会からのニーズに明解に応えるほどには科学的な解明は進んでいない。このような科学と社会の「はざま」に付け込むようにして、科学的に不正確な一般向け通俗脳科学書が氾濫している。マスメディアと科学の関係も含め、科学と社会の接点領域をデザインする展望が必要である。また、これらの諸課題に適切に対応するためには、省庁や学会の縦割り構造を超えて横断的に対応できる組織と指針の整備が必要である。
著者
星野 力 丸山 勉 HUGO deGaris 徳永 幸彦 佐倉 統 池上 高志 葛岡 英明
巻号頁・発行日
1997 (Released:1995-04-01)

本研究課題でなされた研究をいくつかのカテゴリーに分け、概要を記す。(1)自己複製・自己組織化○マシンによって書き換えられるテープと、テープによって書き換えられるマシンの共進化を研究した。(池上)○自己複製のモデルを観察し、その条件とクラス分けを行なった。(田中、津本)○生物(大腸菌、酵素)による無細胞自己増殖系を実験した。(2)群と生態、進化○魚相互間の運動が創発的に出現する観察を行ない魚群行動を調べた。(三宮、飯間、中峰)○自然界の進化の特徴である進化と共に丸くなる適応度地形を考察した。(徳永)○個体の繁殖と分散のみを仮定した人工生命的シミュレーションを行った(河田)○多重遺伝子族におけるコピー数の増加シミュレーションを行ない、種々の遺伝的冗長性を調べた。(館田)(3)中立進化と頑健性○8つの赤外近接センサーと2つの車輪からなるロボットの行動モデルにおける中立変異の爆発的発現を解析した。(星野)○ロボットの行動進化において、フラクタル性と頑健性との関係を明らかにした。未解決の難問(3階層以上の多段創発の困難)を指摘した。(佐倉)(4)その他○ニューライトネットの進化を10万ニューロンの回路を進化させることで研究した。(deGaris)○細菌の走行性を支える分子機構をシミュレーションによって再現した。(大竹、辻、加藤)○脊椎植物の力学対応進化学を確立した。(西原、松田、森沢)○所要時間最短という利己的な行動を行なうカ-ナビの設計を研究した。(星野、葛岡)○FPGA(適応的に構造を再構成するゲートアレイ)を多数並列に結合しテープとマシンの共進化モデルを長時間計算しようとしている。(丸山)
著者
安藤 寿康 福士 珠美 佐倉 統
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.324-330, 2009-06-01
被引用文献数
1 or 0

学術研究の表現はともすれば無機質である。それがどれだけ血の通った人間を対象としていても,そこに求められるのは客観的な科学的現象の記述であり,個人を超えた普遍性を持つものでなければならない。かくして学者の書く論文の文章も,話す講義も,抽象化され非個性化されたことばで埋め尽くされる。科学的厳密さの前に,人間の心のなまめかしいうごきは封印されるのである。仮にその科学がどれだけ心のなまめかしさを扱っていようとも。だがこのことは研究者が人を対象とした実験を行う現場でも無機質に振る舞ってよいことを正当化しない。研究者も被験者もそれぞれが生きた人間であり,実験室はそのような生きた人間同士が出会う場である。研究倫理とは,そうした研究場面という特殊な人間関係や契約関係が作り出す葛藤に生まれる問題である。倫理判断は原則として法に基づくものではなく,基本的に人倫に関する当事者たちの良識に基づくものであり,研究領域ごと,あるいは研究施設ごとに,様々な慣習的手続きが作られている。
著者
荒川 忠一 佐倉 統 松宮 ひかる 尾登 誠一 飯田 誠 山本 誠 松宮 輝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

日本においても風車普及の方向性が明確になってきた。本研究においては、将来の大規模な風車導入に備えて、景観に適合しその地域のメッセージを発信できるヴァナキュラー性に根ざしたデザインを提言してきた。さらに、本研究の方向性を生かして、東京都臨海風力発電所が「東京らしさ」をメッセージにして2003年3月に運開することになった。はじめに、洋上風車などの新しい環境条件を導入し、エネルギー経済シミュレーションを行った。京都議定書の遵守などの条件を加えると、50年後にはエネルギーの8%を風車がまかなうことが要請されること、そのとき、日本においては1MWの風車が10万台導入する必要性があることを示した。高さが80mにもおよぶ大型風車を大量に導入するためには、景観適合のみならず、地域の文化や情報を発信できるデザインの必要性を訴えるとともに、いくつかの地域でデザインの試作を行った。海岸地域、田園地域、そして東京を対象とした。海岸地域では防風林の松のイメージ、あるいは小型風車にマッチングしたデザインなどを創作した。風況調査により、東京湾中央防波堤埋立地に風車に適した風があることを見出し、その成果を受けて大学院生の都知事への提言から、短期間で風車建設の事業が行われた。本研究において、「東京らしさ」をテーマにした様々なデザインや付帯設備を提案し、日本科学未来館のキュレータらとの社会学的な検討を加えた。最終的には、デザイナーの石井幹子氏を指名して緑と白の2色による世界初のライトアップを実現し、またインターネットで回転状況を配信する仕掛けを構築した。本研究の一環によるこのような実践は、新聞各紙の熱心な報道をはじめとして、社会的に評価を得ていること、また風車の今後の導入加速の方法となりえることを示した。本研究のさらなる発展として、日本らしい風車つまり海洋国日本の特徴を最大限に生かした超大型洋上風車の早期実現を提案していく。