著者
中川 公恵
雑誌
日本薬学会第140年会(京都)
巻号頁・発行日
2020-02-01

脂溶性ビタミンの一つであるビタミンKは、側鎖構造の違いにより同族体に分類される。我々が日常的に摂取している主なビタミンKは、緑色野菜に含まれフィチル側鎖を有するビタミンK1(phylloquinone : PK)であり、この他には菌類が合成し発酵食品に含まれるイソプレン単位6〜16個の繰り返し構造を持つメナキノン類(menaquinone-n:MK-n, n=6〜14)、肉類など動物性食品に含まれるビタミンK2 (menaquinone-4 : MK-4) がある。しかし、哺乳動物の組織には、摂取量が極めて少ないMK-4が最も高濃度に存在する。これは、摂取したPKやMK-nが生体内で変換酵素であるUbiA prenyltransferase domain containing protein 1 (UBIAD1) により、MK-4に変換されるためである。摂取したPKやMK-nは、その構造のままで血液凝固因子や骨基質タンパク質の活性化を担うγ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)の補因子として働くが、これ以外の生理作用は見出されていない。一方、MK-4はGGCXの補因子活性のみならず、核内受容体steroid and xenobiotic receptor(SXR)のリガンドとして転写調節を行う他、PKAやPKCの活性化、神経細胞分化の促進、がん細胞の増殖抑制など、様々な生理活性を有する。つまり、PKやMK-nが生体内でMK-4に変換されることは、極めて重要な生体内変化であり、MK-4は活性型であると言える。MK-4への変換反応を担う酵素UBIAD1は全身の組織に発現しているが、その欠損は致死的であるだけなく、様々な組織機能変化を引き起こす。本講演では、組織特異的UBIAD1欠損マウスの解析結果から、UBIAD1が関連すると予想される疾患とそれに対するビタミンKの有用性について紹介する。

言及状況

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やっぱ玄米菜食では栄養枯渇するってことみたいね。 肉食べなきゃ。 祖母は総入れ歯で肉をガシガシ食べる。 瀬戸内寂聴さんも肉食だったね。 長生き。 「哺乳動物の組織には、摂取量が極めて少ないMK-4が最も高濃度に存在する。」 https://t.co/izrJVVxtnS
自分の体にUBIAD1という酵素が欠損しているかどうかを知る方法ってあるの?

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