著者
稲葉 洋平 内山 茂久 戸次 加奈江 牛山 明
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

【目的】リトルシガーは葉巻であるが、その外観、使用法は紙巻たばことほぼ変わらないたばこ製品である。リトルシガーは、2019年から市場に多く投入されている。この一因として、シガー(葉巻)は、紙巻たばこよりもたばこ税が低く、20本入りの1箱の価格が400円程度となっている。紙巻たばこが1箱500円程度であることを考えると安価な紙巻たばこ製品と考えられる。現在、国内で販売されているリトルシガーの主流煙に含まれる化学物質量は、公表されていない。そこで、本研究では、リトルシガー主流煙のニコチン、一酸化炭素、タール、たばこ特異的ニトロソアミン(TSNAs)の分析を目的とした。【方法】測定対象のたばこ製品は、echoとわかばの紙巻たばこ、リトルシガーとした。さらに数銘柄のリトルシガーを対象とした。主流煙捕集の喫煙法は、紙巻たばこ外箱表示に採用されているISO法とヒトの喫煙行動に近いHCI法の2種類を採用した。リトルシガーと紙巻たばこの主流煙は、自動喫煙装置に設置したガラス繊維フィルターに捕集し、振とう抽出後、GC/FIDへ供しニコチンの分析を行った。一酸化炭素、TSNAsに関してもWHO TobLabNetが定めた標準作業手順書に基づいて分析を行った。【結果及び考察】ISO法で捕集した主流煙のニコチン量(mg/cigarette)は、紙巻たばこのechoとわかばが0.96と1.33となり、リトルシガーのechoとわかばが1.08と1.53となった。リトルシガーで上昇しているのが一酸化炭素(mg/cigarette)で、echoが13.2から18.3、わかばが16.4から24.5へ上昇していた。一方で、たばこ特異的ニトロソアミン(TSNAs)は低減されていた。リトルシガーの喫煙者は、紙巻たばこと同様の喫煙行動となると予想される。ヒトの喫煙行動に近いHCI法で捕集した主流煙の化学物質量は、ISO法より高くなることも確認された。リトルシガーが安価なたばこ製品としての定着によって、たばこ対策が後退することが懸念される。また、リトルシガーはタール量も高いことから、燃焼によって発生する多環芳香族炭化水素、カルボニル類、揮発性有機化合物の分析を継続的に進めていく計画である。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト