著者
竹之内 隆夫 高橋 克巳 菊池 浩明
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.872-873, 2018-09-15

データを秘匿したまま処理できる秘密計算技術の性能が近年向上し,実用化への期待が高まりつつある.特に,秘密計算を用いて,異なる組織のデータを秘匿しながら結合・分析することで,組織間での安全なデータ利活用が促進されることが期待されている.しかし,秘密計算にはさまざまな方式や利用形態が存在することから,一般の技術者からの理解が十分とは言いがたいのが現状である.本特集では,秘密計算の基本的な解説を行いつつ,さまざまな方式や利用形態を紹介する.また,技術の説明だけでなく,秘密計算の実用化への取り組みや,実用化に必要な制度や運用面での現状の課題や期待について説明する.
著者
竹之内 隆夫 川村 隆浩 大須賀 昭彦
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.525-532, 2012-10-23

複数機関が保持するユーザのパーソナル情報を結合・分析し,新たな知見を得ることが期待されている.特に医療情報のようなパーソナル情報はプライバシに関わるため,結合のための情報開示を必要最小限にすることや個人特定を防ぐことが求められ,そのための技術として分散匿名化が注目されている.しかし既存手法では,双方の機関のユーザ集合が一致しない場合にユーザのパーソナル情報がその機関に保持されているか否かというユーザ存在が漏洩する問題があった.そこで本論文では,ユーザ存在を隠蔽した分散匿名化手法を導入し,実際の診療機関のレセプトデータを用いて疾病の相関ルール抽出や診療回数の相関分析を行う際の有効性評価を行う.
著者
清 雄一 竹之内 隆夫 大須賀 昭彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1977-1987, 2015-10-15

データを外部のストレージ事業者に預けることが多くなっているが,プライバシや機密情報管理の観点から問題が生じる場合がある.データおよびその索引を暗号化する手法が有効であるが,検索等,データ処理の効率性を低下させることは避けたい.このような課題に対し,Bloom Filterというデータ構造を用いる情報管理エージェントが提案されている.しかし,安全性を担保するためには,検索速度が悪化するという問題がある.これは検索時にクラウド上のデータ数に比例した回数だけハッシュ値を計算する必要が生じるためである.提案手法では,Bloom Filterを利用し,ハッシュ値の計算のみではなく,素数によるMOD演算を併用することで,これまでと同レベルの安全性を保持したうえで検索速度を向上させる.793万ドキュメントを利用したシミュレーション評価により,従来約30.2秒必要だった検索が0.7秒程度でできることを示す.