著者
〓 国祥 星 仰
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.107-108, 1993-03-01

多値画像データの分類やパターン認識などの認識過程においては、既知パターンを標準パターンとして、認識しようとするパターンの特徴はいろいろな分類手法または認識手法によって抽出される。しかし、この多値画像データの分類の認識過程で種々な原因によって、多値画像の画素が誤分類あるいは誤認識されることがよくある。その原因の一つは多値画像の画素の場合に1画素が一般的に純粋なパターンからなるとは限らない。つまり、1画素の濃淡レベル値が複数のパターンの平均値または総合値である。このことは1画素データが1物体1現象という概念で取り扱える場合と複合体が1画素のデータを形成していると考えなければならない場合がある(ミクセル問題)。前者の画素データの分類の対して、トレーニングデータで分類を評価するとき、分類スコアが算出される。この分類スコアはCrispデータ(正の整数値をとる)のため、分類スコア全体を1つの尺度で評価するにの、あいまい度の尺度などは適した尺度ともいえよう。しかし、後者の場合分類スコア中の誤分類に関してはCrispデータとして取り扱うのでは不十分であり、帰属クラスの確率が複数の分類項目に分散させるのが妥当と思われる。ところで、ファジイ理論はL.A.Zadehによって、1965年に提案され、その後、多くの分野への応用が研究されてきた。多値画像データの分類においても、ファジイ理論に基づくファジイセット分類法が使われてきている。ファジイ理論の適用によって、従来の一画素、一つのクラスの属するという概念を変え、メンバーシップ関数によって、より客観的に画素内の性状を反映できるようになった。本論文ではCrisp Data(分類前のクラスのメンバーシップ関数値)とFuzzy Data(分類後メンバーシップ関数値)間の関数関係を定義し、この関係関数に基づいて、仮頻度(pseudo-frequency)という概念を提案する。この仮頻度が算出されると、自然にこの仮頻度から分類結果の仮確率(pseudo-probability)を求めることができ、定義することもできる。そして、いくつかの分類結果の数学モデルを利用して、ファジイ理論の基づく分類結果の評価の有効性を検証する。