著者
〔栗本丹州//画〕
出版者

幕医栗本丹洲(通称は瑞見、1756-1834)は『千虫譜』で有名だが、その魚介譜はより大規模な図説で、原本は巻子本計30軸ほどだったと思われる。現在は当館(4軸)、東京国立博物館(『博物舘魚譜』などに貼付)、杏雨書屋(『栗氏魚譜』22軸)に分かれて収納されている。本資料はその一つで、クラゲ12・タコ3・イカ5(1点は卵嚢)・ヒトデ3・クモヒトデ1(原記載名、わくのて)・カメノテ(甲殻類)1の計25図から成る。うち19点は、高松藩主松平頼恭編『衆鱗図』の転写である。当館所蔵の丹洲自筆本は、これ以外に、『魚譜』(本別10-3、1軸)、『魚譜』(寄別10-38、2軸)、『王余魚図彙』(カレイずい:ち二-15、1軸)の3点がある。全貌が不明なので、正確な計算はできないが、魚介譜の総品数は1000を上まわり、その約半数が『衆鱗図』と『衆鱗手鑑』に由来するようである。:『魚譜』(り二-3)解題参照(磯野直秀)