著者
橘 省吾 はやぶさ2サンプラーチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.261-268, 2013-12-25

「はやぶさ2」計画では,地上での汚染や大気圏突入によるサンプリングバイアスのないC型小惑星試料を地質情報とともに複数地点から採取し,地球にもちかえることをめざす.リターンサンプル(<5mm)の詳細分析と,リモートセンシング機器,小型ランダーで得る天体スケール(km)から表層粒子スケール(cm-mm)での構造・物質・熱といった現在の情報をリンクさせ,対象小惑星(1999 JU_3)そのものの形成と現在までの進化を理解するだけでなく,太陽系の誕生から最初期の物質進化,そして,地球の海や生命の材料となる揮発性元素の最終進化の場としての小惑星の役割を明らかにする.