著者
安部 健太 Abe Kenta アベ ケンタ
出版者
大阪大学大学院 人間科学研究科 対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 = Japanese journal of interpersonal and social psychology (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.17, pp.53-60, 2017-03

原著スポーツ場面において、ホームチームのほうがアウェイチームよりも有利だとするホームアドバンテージが指摘されてきた。ホームアドバンテージを生じる要因には習熟因子、移動因子、ルール因子、観客因子が挙げられる(Courneya & Carron, 1992)。観客因子に注目したとき、観客の人数や密度を比較した分析はなされてきたものの、純粋に観客の不在の効果を分析した研究は少ない。これはスポーツの試合において観客がいることが一般的だからである。そこで本研究では、インフルエンザ感染の拡大により複数の無観客試合が実施された2008-09シーズンのメキシコのサッカーリーグを対象として分析を行い、観客因子の効果を検討することを目的とした。分析の結果、選手のパフォーマンスにはホームアドバンテージの傾向が認められたものの、観客の有無による差異はみられなかった。一方で審判の判定は、観客の有無による警告数に差が一部認められた。