著者
土田 哲 アリソン エイミ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.101, pp.93-98, 2009-06-18
参考文献数
10
被引用文献数
1

1991年に飯島澄男博士によりカーボンナノチューブが発見されたことにより、宇宙エレベータ建設に必要な引張り強度を持つ材料を手にする可能性が出てきた。宇宙エレベータの実現により、従来のロケットによる物資輸送と比較し、画期的な低コストで人や物を軌道上に輸送できると期待されている。この論文では、宇宙エレベータの概要と世界での研究開発動向を述べるとともに、日本が持つ技術を積極的に用いて実現を目指す「日本版宇宙列車構想」について説明する。この構想では、カーボンナノチューブの強度にだけ注目するのではなく、機能部品としての特性を積極的に使うこととしている。((1)銅と同等の低電気抵抗特性を利用したケーブルからの給電、(2)半導体特性を使ったコイル、スイッチ、電子回路を組み込んだスマートケーブルの開発、(3)スマートケーブルの機能を利用したリニアモータの実現)