著者
アリフィン ヌルハヤティH.S. 増田 拓朗
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.315-323, 1997-03-28
被引用文献数
1 2

栗林公園は代表的な回遊式庭園であり,特別名勝に指定されている。しかし,近年,周辺地域の建築物の高層化に伴い,庭園景観が損なわれるようになってきた。本研究では,メインルートに沿って代表的な鑑賞地点12ケ所を選び,各地点から見える建築物の仰角および水平角を測定し,建築物の視覚的侵入の程度を調査した。調査結果に基づき,本来の庭園景観を損なわないような形での高木植栽あるいは築山居造成して高木植栽を行う可能性を検討した。この方法で,ある程度,建築物を遮蔽することは可能であるが,新たにさらに高い建築物が建設された場合にはその効果は失われる。根本的な解決のためには,周辺地域を風致地区あるいは景観保全地区として,建築物の高さ制限をすることが望まれる。調査結果に基づいて,その地域区分と高さ制限を提案した。