著者
イ ジョンミン
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文学報 = Journal of humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
no.106, pp.1-22, 2015

特集 : 領事館警察の研究支配側から見て「軽犯罪」の取締というのは,人々の日常に入り,「望ましくない」行為を排 除する基準を示すことになる。19 世紀後半の東アジアにおいては,開港地内の力関係により 「軽犯罪」に対する取締りの規則が急遽作られた。日本における軽犯罪取締は1872年から始ま り,朝鮮においては日本内での実施から10 年も経たないうちに同じ規則が上陸したのである。 本論文の目的は,日本の在朝鮮領事館による軽犯罪取締りの例を通じて,取締りを始めた状況や取締りの対象にされた行為の詳細を検討しようとするものである。 初期領事館警察は,朝鮮で日本(人) の政治的・経済的活路を広げるため居留民を保護しながら,その活路開拓に障害になる「問題居留民」の行動を規制し居留地を安定的に維持することに力を入れていた。朝鮮人との葛藤や武力衝突の規制,「外地」において日本人に向ける視線 を意識した自己規制,移動人口の管理が主な内容である。