著者
橘川 次郎 ウィルソン ジャニスM
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.60-65, 2002

餌場におけるハイムネメジロの闘争戦略がコスト•ベネフィットの法則に従うものかどうかを密度の高いヘロン島で調査した。込み合った餌場で起る反発行動で攻撃を仕掛ける個体が使う行動の要素には,威嚇に使われるものの方が攻撃に使われるものより多かった。これは闘争の相手を無差別に仕掛ける時の戦略で,群れのなかで順位が高いものも低いものも同じように使っていた。禽舎のなかで相手を識別して仕掛ける反発行動では,相手によって戦略を換え一般に威嚇より攻撃の要素がよく使われるが,今回の結果はそれと対照的であった。すなわちハイムネメジロは攻撃する相手が区別できない時は,群れのなかで順位が高いものに対して仕掛ける時のように威嚇の要素を使う傾向があり,それはコスト•ベネフィットの法則にしたがっていると考えられる。