著者
桶河 華代 田村 恵 上野 範子 オエガワ カヨ タムラ メグミ ウエノ ノリコ Okegawa Kayo Tamura Megumi Ueno Noriko
雑誌
聖泉看護学研究 = Seisen journal of nursing studies
巻号頁・発行日
vol.1, pp.53-61, 2012-04

背景 近年, 看護職において, 長く働き続けられる環境づくりを進めるために, ワーク・ライフ・バランスの実現に向けての取り組みが行なわれている. 目的 A県における訪問看護ステーションのオンコール体制の実態を明らかにし, ワーク・ライフ・バランスを検討するための基礎的資料とすることを目的とした. 方法 A県にある70か所の訪問看護ステーションの管理者宛てに, 無記名自記式質問紙調査を送付し, 39か所 (55.7%) から有効回答を得た. 結果 A県にある39か所のステーションにおける1事業所当たりの平均看護師数は6.0±5.6人であり, 全国平均の4.2人と比べると多く, 規模別においては, 中規模事業所が77%を占めていた. 24時間対応体制加算は, 34か所 (87%) が取られているが, オンコール体制に関する規約や手当がない事業所もあった. また, オンコール体制はほとんどが常勤職員で担っており, 管理者の待機日数は, 大規模事業所に比べて小規模および中規模事業所の方が多かった. 考察 オンコール体制が, 在宅看護の重要な機能として捉えている一方で, 訪問看護師の高い離職率や人材確保の難しさの一因となっていることが考えられた. 今後は, 法的根拠に基づいた規約の整備が望まれる. また, 管理者個人が意識化し, 個々のステーションでワーク・ライフ・バランスの取り組みが必要である. 結論 オンコール体制のあり方や職員への指導等を考える資料を得ることができたので, 待機手当のないステーションに手当を提案し, 継続した調査を行う.