著者
嶌田 理佳 上野 範子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2_87-2_99, 2002-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
107

アメリカやイギリスでは1990年頃までにほとんどの施設でナースキャップが廃止された。 私服導入を含めたユニフォームの変遷と共に必然的に廃止に至ったと考えられるが,この背景にはナースキャップの表現する看護婦像が専門職のものとしてふさわしいかどうかを議論したフェミニズムの視点もあったと考える。 歴史的に欧米でも女性は主体的に生きることは許されず,一生を男性に捧げるものとされてきたが,看護が伝統的に女性の職業であったために,1960年代まで看護婦は医師や病院経営者ら男性による支配をうけてきた。 その後,女性のみに着用が求められるナースキャップは,差別的であるとの指摘や伝統的女性観を想起させ,新時代の看護婦のイメージとして不適切との主張がナースキャップ廃止に影響を与えたのではないかとみられる。 この論文では英米の文献を参考に看護史と女性史に基づき,ナースキャップの表現する女性性と看護婦像について考察した。
著者
嶌田 理佳 上野 範子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2_87-2_99, 2002

アメリカやイギリスでは1990年頃までにほとんどの施設でナースキャップが廃止された。 私服導入を含めたユニフォームの変遷と共に必然的に廃止に至ったと考えられるが,この背景にはナースキャップの表現する看護婦像が専門職のものとしてふさわしいかどうかを議論したフェミニズムの視点もあったと考える。 歴史的に欧米でも女性は主体的に生きることは許されず,一生を男性に捧げるものとされてきたが,看護が伝統的に女性の職業であったために,1960年代まで看護婦は医師や病院経営者ら男性による支配をうけてきた。 その後,女性のみに着用が求められるナースキャップは,差別的であるとの指摘や伝統的女性観を想起させ,新時代の看護婦のイメージとして不適切との主張がナースキャップ廃止に影響を与えたのではないかとみられる。 この論文では英米の文献を参考に看護史と女性史に基づき,ナースキャップの表現する女性性と看護婦像について考察した。
著者
桶河 華代 田村 恵 上野 範子 オエガワ カヨ タムラ メグミ ウエノ ノリコ Okegawa Kayo Tamura Megumi Ueno Noriko
雑誌
聖泉看護学研究 = Seisen journal of nursing studies
巻号頁・発行日
vol.1, pp.53-61, 2012-04

背景 近年, 看護職において, 長く働き続けられる環境づくりを進めるために, ワーク・ライフ・バランスの実現に向けての取り組みが行なわれている. 目的 A県における訪問看護ステーションのオンコール体制の実態を明らかにし, ワーク・ライフ・バランスを検討するための基礎的資料とすることを目的とした. 方法 A県にある70か所の訪問看護ステーションの管理者宛てに, 無記名自記式質問紙調査を送付し, 39か所 (55.7%) から有効回答を得た. 結果 A県にある39か所のステーションにおける1事業所当たりの平均看護師数は6.0±5.6人であり, 全国平均の4.2人と比べると多く, 規模別においては, 中規模事業所が77%を占めていた. 24時間対応体制加算は, 34か所 (87%) が取られているが, オンコール体制に関する規約や手当がない事業所もあった. また, オンコール体制はほとんどが常勤職員で担っており, 管理者の待機日数は, 大規模事業所に比べて小規模および中規模事業所の方が多かった. 考察 オンコール体制が, 在宅看護の重要な機能として捉えている一方で, 訪問看護師の高い離職率や人材確保の難しさの一因となっていることが考えられた. 今後は, 法的根拠に基づいた規約の整備が望まれる. また, 管理者個人が意識化し, 個々のステーションでワーク・ライフ・バランスの取り組みが必要である. 結論 オンコール体制のあり方や職員への指導等を考える資料を得ることができたので, 待機手当のないステーションに手当を提案し, 継続した調査を行う.
著者
当目 雅代 上野 範子 木村 みさか
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.5_9-5_21, 1999-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
28

看護職における社会資源の認知度とそれらに及ぼす要因を検討することを目的として,病院勤務者を対象とした調査を行った。 そして,性,年齢の明らかな2,651名データから,1)認知度が高率だったのは,デイサービス・ショトステイ・高額療養費,傷病手当金制度で,低率だったのはライトハウス・更生医療・在宅介護支援センター・老人日常生活給付事業であった。2)勤務先に医療相談室のある者はない者に比べ,小児慢性特定疾患・ライトハウスの認知度が高率であった。 3)訪問看護制度のある者はない者に比べ,ホームヘルパー・デイサービス・ショートステイ・在宅介護支援センターの認知度が高率であった。 4)入院経験のある者はない者より高額療養費・補装具交付修理・身体障害者運賃割引制度の認知度が高率であった。 5)福祉体験・学習経験のある者はない者に比べ,すべての社会資源の認知度が高く,特に,ホームヘルパー・デイサービス・ショートステイ・在宅介護支援センターに関する認知度は50%を越えていた。 以上より,病院に勤務する看護職での社会資源の認知度は,福祉に関する体験や学習経験,あるいは家族を含む入院経験などの個人的要因に加え,勤務先での医療相談室や訪問看護制度の有無など,環境要因の影響を受けていることが示唆された。