著者
鈴木 亮 小俣 大樹 ウンガ ヨハン 大崎 智弘 丸山 一雄
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.115-122, 2018-03-25 (Released:2018-06-25)
参考文献数
25

近年、超音波とマイクロバブルを利用した薬物送達法の開発が行われている。これは、マイクロバブルの振動や圧壊に伴い、血管透過性が亢進することを利用した方法である。現在では、抗がん剤とマイクロバブルを投与し、がん組織に超音波照射するがん治療が臨床研究で進められている。これは超音波によるマイクロバブルの振動でがんの新生血管が押し広げられ、抗がん剤のがん組織への分布が高まったと考えられている。この現象をEPR効果の促進につなげることができれば、ナノ医薬品のがん組織集積性の向上につながると期待される。そこで本稿では、超音波とマイクロバブルによる血管透過性亢進に基づく薬物デリバリーに関して紹介するとともに、EPR効果促進への応用について解説する。