著者
田中丸 治哉 エラミン カリド アリ エルタイブ 多田 明夫 鳥井 清司
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2017

洪水灌漑(spate irrigation)は,季節河川における雨季の洪水を堰と水路によって圃場に導水する伝統的な灌漑方法である.本報告では,スーダン東部に位置するガッシュデルタの洪水灌漑地区を研究対象としている.まず,衛星リモートセンシングに基づくエネルギー収支法(SEBAL)を適用し,洪水灌漑圃場における蒸発散量の空間分布を推定した.その結果,灌漑圃場内で蒸発散量が大きく変動することが示された.次いで,DEMによる地形解析によって,地表の凹凸の程度を表す地形指標が計算された.灌漑期間中の総蒸発散量の標準偏差と地形指標の関係を調べたところ,地表面の凹凸が激しい圃場ほど蒸発散量の変動が大きく,水供給の不均一が生じやすいことが示された.