著者
北川 美香 Kitagawa Mika キタガワ ミカ
出版者
大阪大学日本語日本文化教育センター
雑誌
大阪大学日本語日本文化教育センター授業研究 (ISSN:24239410)
巻号頁・発行日
no.14, pp.35-40, 2016-03

2014年度春学期に大阪大学日本語日本文化教育センターで「漢字研究」の授業を担当した際、幾つかの漢字学習法を実践し、各方法に対する学生の感想を集計した。その結果、日本人の好む語呂合わせや漢字絵描き歌といった即効性の高い方法ではなく、繰り返し漢字を書いて覚えるという地道な作業が留学生に支持されることが判明した。これは日本人高校生のような漢字学習意欲が比較的低い者に比べて、当センターに在籍する外国人留学生は漢字習得に対するモチベーションが高いせいではないだろうか。今までは、漢字を苦手とする外国人の漢字学習に対するやる気を刺激する方法、或いは漢字学習への嫌悪感を消す方法が模索されてきた。しかし、漢字を授業内でも身に付けたいという当センターの学生たちが持っている熱意に応え、漢字を書く作業――例えば書写――を授業内に取り入れてもよいのではないだろうか。
著者
北川 美香 キタガワ ミカ
出版者
大阪大学日本語日本文化教育センター
雑誌
大阪大学日本語日本文化教育センター授業研究
巻号頁・発行日
vol.12, pp.17-21, 2014-03-31

本稿は2013年度春学期に大阪大学日本語日本文化教育センターの授業「漢字研究」で学生の犯したミスを分析し、それを踏まえて試行した幾つかの漢字学習法を報告し、効率的な漢字教授法を考察するのが目的である。今回の授業は日本語能力試験Nl合格を目標に掲げていたため、ある程度の漢字力を備えた学生が集まった。しかし、漢字圏の学生では、簡体字などの異体字との混同によるミスが目立ち、非漢字圏の学生では、漢字の字形そのものがしっかりと身についていない学生が少なからず見られた。漢字圏の学生には、簡体字・繁体字・日本漢字の違いを明確にするのが重要である。一方、漢字の字形に関する知識が不確かな学生は視聴覚を刺激したり、語呂合わせを用いたりする方法が効果的であった。最初のプレースメントテストで誤答の種類によって学生を分別すれば、その後の授業展開が効率的に行えるだろう。