- 著者
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グェン フォン バオ チャウ
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.4, pp.77-85, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
- 参考文献数
- 20
訪日外国人旅行者数は2010年代から増え続けている。中でも兵庫県豊岡市にある城崎温泉は,5年間で外国人旅行者数を36倍増加させることに成功した。このケースはその城崎温泉にある100年以上の歴史を持つ温泉旅館「西村屋」が外国人宿泊者に向けて行っている取り組みについて紹介する。「外国人にも日本人と同じ体験をしてもらう」という考えのもと,施設内の多言語化や外国語人材の確保と育成を積極的に行っている。さらに,モノ消費からコト消費へと外国人旅行者の動向が変わりつつある中,今後も新しい体験を提供できるように試みている。常務取締役の池上桂一郎氏と海外戦略担当のフカイ・コリン氏のインタビューに基づき,城崎の共存共栄精神を維持しながら,差別化を図る西村屋の戦略について見る。