著者
高阪 勇毅 コウサカ ユウキ Kohsaka Youki
出版者
Graduate School of Economics and Osaka School of International Public Policy (OSIPP) Osaka University
雑誌
Discussion Papers In Economics And Business
巻号頁・発行日
vol.11-28, 2011-10

本論文では、日本において観測された株式分割バブルが、制度改正だけではなく、ライブドア・ショックによっても崩壊したことを検証する。しかし、制度改正とライブドア・ショックはともに2006年1月の事象であり、影響の識別が困難である。そこで、標本を「旧制度分割銘柄」、「ライブドア・ショック以前に分割発表をした新制度分割銘柄」と「ライブドア・ショック以降に分割発表した新制度分割銘柄」の3つに区別し、制度改正の効果とライブドア・ショックの影響を識別している。その結果、旧制度における取引制約が株価の高騰に有意な影響を持っていたこととライブドア・ショックが分割銘柄の高騰を解消させたことを明らかにした。よって、株式分割バブルは制度改正だけではなく、ライブドア・ショックによる分割銘柄に対する投資家心理の変化によっても崩壊したと判断できる。