著者
池田 亮一 イケダ リョウイチ Ikeda Ryouichi
出版者
Graduate School of Economics and Osaka School of International Public Policy (OSIPP) Osaka University
雑誌
Discussion Papers In Economics And Business
巻号頁・発行日
vol.11-22, 2011-06

昨今,少子高齢化が深刻化している中で,出生率を内生化した世代重複モデルによる分析が盛んに行われている。しかし,先行研究のほとんどは,完全雇用を前提としている。現実には失業が存在するのではないか。本稿では,失業をモデル化した労働組合賃金交渉モデルを用い,育児支援税が雇用,子ども数にもたらす影響を分析した。まず,育児支援税の増加は,失業率を上昇させ,資本ストックを減少させる。新たにわかったこととして,失業の増加は,可処分所得の減少を通して,子ども数を減少させる。また,一定の条件を満たすとき,育児支援税の導入で経済全体の一人当たり子ども数が減少する。結論として,育児支援税も,過剰になると逆効果になることがわかった。また新たに,失業保険給付率の上昇は,失業の上昇による可処分所得の減少を通して,子ども数を減少させることがわかった。
著者
高阪 勇毅 コウサカ ユウキ Kohsaka Youki
出版者
Graduate School of Economics and Osaka School of International Public Policy (OSIPP) Osaka University
雑誌
Discussion Papers In Economics And Business
巻号頁・発行日
vol.11-28, 2011-10

本論文では、日本において観測された株式分割バブルが、制度改正だけではなく、ライブドア・ショックによっても崩壊したことを検証する。しかし、制度改正とライブドア・ショックはともに2006年1月の事象であり、影響の識別が困難である。そこで、標本を「旧制度分割銘柄」、「ライブドア・ショック以前に分割発表をした新制度分割銘柄」と「ライブドア・ショック以降に分割発表した新制度分割銘柄」の3つに区別し、制度改正の効果とライブドア・ショックの影響を識別している。その結果、旧制度における取引制約が株価の高騰に有意な影響を持っていたこととライブドア・ショックが分割銘柄の高騰を解消させたことを明らかにした。よって、株式分割バブルは制度改正だけではなく、ライブドア・ショックによる分割銘柄に対する投資家心理の変化によっても崩壊したと判断できる。