著者
高阪 勇毅 Mardyla Grzegorz 竹中 慎二 筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.5, pp.189-192, 2012

本論文は,気質効果の存在とその原因を経済実験によって調べた.本論文の特徴は次の3つである.第1に,現実の株式市場に似た取引環境を構築し,経済実験の環境下で現実の取引行動に近いデータを取得し,分析したことである.第2に,被験者の参照価格をアンケート調査から特定し,気質効果の存在を単独で検証していることである.第3に,損失局面と利得局面における各危険回避度を計測し,プロスペクト理論における損失回避が気質効果の原因の一つであることを検証したことである.
著者
高阪 勇毅 コウサカ ユウキ Kohsaka Youki
出版者
Graduate School of Economics and Osaka School of International Public Policy (OSIPP) Osaka University
雑誌
Discussion Papers In Economics And Business
巻号頁・発行日
vol.11-28, 2011-10

本論文では、日本において観測された株式分割バブルが、制度改正だけではなく、ライブドア・ショックによっても崩壊したことを検証する。しかし、制度改正とライブドア・ショックはともに2006年1月の事象であり、影響の識別が困難である。そこで、標本を「旧制度分割銘柄」、「ライブドア・ショック以前に分割発表をした新制度分割銘柄」と「ライブドア・ショック以降に分割発表した新制度分割銘柄」の3つに区別し、制度改正の効果とライブドア・ショックの影響を識別している。その結果、旧制度における取引制約が株価の高騰に有意な影響を持っていたこととライブドア・ショックが分割銘柄の高騰を解消させたことを明らかにした。よって、株式分割バブルは制度改正だけではなく、ライブドア・ショックによる分割銘柄に対する投資家心理の変化によっても崩壊したと判断できる。