著者
福田 智子 児玉 駿介 加藤 みどり フクダ トモコ コダマ シュンスケ カトウ ミドリ Fukuda Tomoko Kodama Shunsuke Kato Midori
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.14-31, 2014-03

資料紹介同志社大学文化情報学部蔵無名歌集(仮称『いろは和歌集』)は、和歌を句頭の文字によって、いろは順に分類・配列した歌集である。本稿では、歌頭が「ち」「ぬ」「を(お)」「わ」「か」「よ」「た」「そ」の歌(「り」「る」の項目はない)、計220首(「ぬ」のみ10首、それ以外は各30首)について、『新編国歌大観』を対象に他出歌集を検した。その結果、『新古今集』『古今集』が圧倒的に多く、一方、『万葉集』は採歌対象から外れていることがわかった。また、他出歌集が唯一の場合として、『古今集』『新古今集』や『長秋詠草』『秋篠月清集』『拾玉集』『壬二集』『拾遺愚草』が挙げられる他、『源氏物語』にまとまった用例数が得られた。作者名には墨消が一箇所あり、誤りも存するが、『伊勢物語』の歌では、歌論書や古注釈に通じる作者推定が窺える。なお、出典未詳歌は15首存し、3首連続する箇所があるなど出現箇所に偏りが見られる。