著者
矢野 環
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.60-53, 2007-03

利休以前の、京の茶人による茶湯書。香道で著名な志野家の点前と、不住庵梅雪、進藤山城守の点前の相違などを記述する。戦前に名前は知られていたが、内容がこれまで不明であった。底本は「煎茶礼要集」(古田織部からの聞き書きを元に正保二年成立)とともに収められている。戦前に紹介された写本は、「山上宗二記」を伴っていた。底本もその形跡を留める。全体として織部の伝書であったかどうかは未詳だが、かつて紹介された写本の「宗二記」は、織部改修本であった。「志野殿被仰聞書」の本文は茶湯点前であり、特に最後に詳細な手続きを記載している。
著者
小野原 彩香 谷岡 健資 土山 玄 大森 崇 オノハラ アヤカ タニオカ ケンスケ ツチヤマ ゲン オオモリ タカシ Onohara Ayaka Tanioka Kensuke Tsuchiyama Gen Omori Takashi
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-11, 2013-03

研究論文本報告では、統計教育大学間連携ネットワーク連携校6校で行われている統計関連科目のシラバスを分析し、文化情報学部における統計教育の時間数の多さと内容の多様性が明らかとなった。また、文化情報学部にて開講されているデータサイエンス科目を受講する学生に対し、授業評価アンケートを行った結果、グループ活動の重要さと理系・文系出身者での授業に対する印象の違いが明らかとなり、今後の授業作りに示唆を与える結果となった。In this research, we analyzed syllabuses of subjects about statistics which had been taught in six universities which belong to the organization about statistics education. In result from analyses, it was revealed that Faculty of Culture and Information Science has most statistics classes and various contents in six universities. On the other hand, we surveyed assessments of data science's classes by their students, and we got suggestions about the direction of class through facts that is importance of group work and the difference of idea between the arts students and sciences students.
著者
福田 智子 児玉 駿介 加藤 みどり フクダ トモコ コダマ シュンスケ カトウ ミドリ Fukuda Tomoko Kodama Shunsuke Kato Midori
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.14-31, 2014-03

資料紹介同志社大学文化情報学部蔵無名歌集(仮称『いろは和歌集』)は、和歌を句頭の文字によって、いろは順に分類・配列した歌集である。本稿では、歌頭が「ち」「ぬ」「を(お)」「わ」「か」「よ」「た」「そ」の歌(「り」「る」の項目はない)、計220首(「ぬ」のみ10首、それ以外は各30首)について、『新編国歌大観』を対象に他出歌集を検した。その結果、『新古今集』『古今集』が圧倒的に多く、一方、『万葉集』は採歌対象から外れていることがわかった。また、他出歌集が唯一の場合として、『古今集』『新古今集』や『長秋詠草』『秋篠月清集』『拾玉集』『壬二集』『拾遺愚草』が挙げられる他、『源氏物語』にまとまった用例数が得られた。作者名には墨消が一箇所あり、誤りも存するが、『伊勢物語』の歌では、歌論書や古注釈に通じる作者推定が窺える。なお、出典未詳歌は15首存し、3首連続する箇所があるなど出現箇所に偏りが見られる。
著者
清塚 信也 キヨズカ シンヤ Kiyozuka Shinya
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.55-61, 2013-03

講演記録偉大なる歴代の大作曲家が残した名曲たち。敷居が高いと思われがちのクラシック音楽も、作曲家の性格や体つき、そしてその暮らしぶりを知ることで、急に親しみが湧いてくる。隠れたエピソードには、笑いが満載!清塚流「楽しく学ぶクラシック音楽」!清塚信也:ピアニスト, 作曲家, 俳優
著者
石岡 学 イシオカ マナブ Ishioka Manabu
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.84-93, 2016-03

研究ノート本研究では、1947~54年度に日本の大学入試において実施された進学適性検査に焦点を当て、検査の「練習効果」に関する言説を分析した。先行研究では、同検査は「努力主義」に背馳する性質ゆえに日本社会では受容されなかったと指摘しているが、このような捉え方では、当時の書籍・雑誌において多数みられた「進学適性検査受験対策」の存在を説明できない。本研究では、言説主体の立場性の違いを分析の軸とし、検査の「練習効果」がどのように認識されていたのかを明らかにした。
著者
小林 雄一郎 北尾 謙治
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-14, 2010-06

研究論文語彙と読みやすさは、英文における重要な難易度の指標である。非母語話者であれば、母語話者よりも使用できる語彙が少なく、複雑な文章を読むにも困難がともなう。そのような場合の解決策の一つがレベル別多読教材 (Graded Readers, GR) である。GRでは、複数の難易度レベルが設定されており、読者は自分の英語力に合った教材を選ぶことができる。しかしながら、日本の中学校・高等学校でそれらを補助教材として用いる場合、どの学年の学生にどのレベルが適しているかは必ずしも明確ではない。そこで、本研究の目的は、語彙と読みやすさの観点から、日本の中学校と高等学校の英語検定教科書とレベル別多読教材 (Graded Readers, GR) を計量的に比較するものである。その結果から、(1) 語彙の難易度に関して、教科書は同じレベルのGRよりも難しい、(2) 語彙のカバー率に関して、GRはかならずしも十分ではない、(3) 教科書とGRを識別する語の多くは固有名詞であり、逆に言えば、両者の語彙分布に大きな差は見られない、(4) 読みやすさに関して、GRはそれほど統制されている訳ではない、(5) 教科書で学んだ生徒達は、同じレベルのGRを十分に読める可能性があることなどを議論する。Non-native speakers of English have a much smaller vocabulary in English than native speakers do, and they also have difficulty of understanding complex sentences. For non-native speakers of English, readability and variety and levels of vocabulary are good indices for predicting difficulty levels of English passages. Therefore authorized English language textbooks in Japanese junior and senior high schools are controlled for vocabulary and readability. Graded readers, which are reading materials for non-native speakers of English from the beginners to the advanced learners, are also controlled with vocabulary and readability. This study measures readability and vocabulary levels of authorized English language textbooks and graded readers, level 1-6. From the results of their analyses, authors argue 1) English language textbooks are more difficult than the same level of graded readers. 2) In some cases, not enough of the vocabulary in graded readers is covered by the authorized textbooks. 3) Textbooks and graded readers share much of the same vocabulary. 4) Graded readers are well controlled for vocabulary but not for readability. 5) Though junior high students who have studied with English language textbooks may not be able to read the same level graded readers, high school students should be able to. These conclusions, based on a pilot study, are preliminary need further research.
著者
福田 智子 青木 聡美 桐谷 早織 浅井 佐和子 穂満 建等
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.70-54, 2012-03

研究ノート『古今和歌六帖』は、約四千五百首の歌を、二十五項目、五百十七題に分類した類題和歌集である。収載歌には、『万葉集』『古今集』『後撰集』など、出典の明らかな歌もある一方、現在では出典未詳と言わざるを得ない歌もある。本稿では、菊・桔梗・竜胆・紫苑の題に配されている出典未詳歌、十一首について注釈を施す。
著者
鳩山 由紀夫 ハトヤマ ユキオ Hatoyama Yukio
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.37-45, 2006-03

講演自分の将来を考える上で、人生は一度しかないのだから、いろいろと試行錯誤をした上で自分の適性や将来の目標を見つけた方がよい。そのためには、どのような情報に基づいて、どのように将来の進むべき道を決定をしていけばよいのか、その最適な方法を考えることが必要である。これまでの学問経験や政治家としての人生経験に基づいて、科学的な意思決定の方法とは何か、数学という学問が我々の生活の中でどれだけ重要な役割を果たしているのかなど、意思決定に関する文化情報学的考察をおこなう。
著者
山田 哲也
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.82-66, 2009-03

資料紹介本書は、永禄から天正年間ころに成立した七種の茶の湯名物記や茶会記によって構成される、宗魯筆『仙茶集』(せんさのしふ 文禄二年成立)の末尾に収められた茶の湯名物記である。アジア・太平洋戦争前(以下、戦前とする)に刊行された『茶道(全集)』の巻の十二文献篇で当時の茶の湯研究者松山吟松庵によって公開されたが、ほとんど注目されなかった。しかし矢野環教授らの研究により本体の『仙茶集』の正体が明らかとなり、本書もにわかに注目され出した。それは『仙茶集』の冒頭部分が、室町時代の名物記の基準となる『清玩名物記』の項目を書写したものであることが判明したとである。本書は戦前の東洋美術品の著名なコレクターであった、阿部房次郎の旧蔵書であったことが、その蔵書印の存在からも明らかである。本書は写真帖が作成され、『茶道(全集)』巻十二の刊行前に数寄者益田鈍翁から、松山吟松庵に貸与されている。吟松庵はこの写真帖により『茶道(全集)』の稿を作成したようである。本書は堺を始めとする地方別名物記である。収められた情報は永禄から天正期のもので、登載された名物は422点を数える。本書は『清玩名物記』や『天正名物記』など前後して成立した名物記と比較・検討されることにより、よりその重要性は増すであろう。This book is Chanoyu-an art object book that Soro,s ediit Sensano-shu appendix.Sensano-shu is copy down Seigan-maibutuki.This fact is think highly of Karamono-oyosonokazu.This book is maiking a piece 422,and Chnoyu-dogu a possession Chnoyusha,s a list.
著者
吉村 直樹
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-38, 2009-03

講演記録現代ではラジオは若者の間でかつてのような人気がなくなってしまったが、聴覚的想像力は万葉の昔から江戸の俳諧を経て現在にいたるまで日本文化の特質であり、マスメディアとしての量的な優位は他のメディアに比べて下がったものの、ラジオ文化にはまだまだ魅力と有用性が残っている。阪神淡路大震災の際にラジオが情報伝達に役立ったのは確かだが、それ以上にひとりひとりに話しかけるというメディアとしての要素の強いラジオは聴取者になりよりも安堵感を与えたと言われる。テレビとラジオの決定的な違いは映像が伴うかどうかにある。ラジオにとって一見不利に見える映像の欠如は、制作と報道の仕方によっては逆に映像では表現えできないような内面を伝えることもできるし、またその比較的シンプルで安価な制作の性質を利用して機動的な、また地域に密着した番組を提供できるという利点もある。Radio is not so popular today among young people as it used to be. But auditory imagination has been one of the Japanese cultural tradition since the times of Man'yoshu. In Edo period we had haikai which also featured auditory imagination. Although radio is not influential as TV in terms of mass communication, it played a very important role during the Great Hanshin Awaji Earthquake giving crucial infrastructural information to the listeners who had no access to home electricity and the other mass media. What is more, since radio program tends to address itself to individual listeners rather than to mass audience, it can give a great deal of intimacy and reassurance. In addition, radio can play another major role as a local media based in local communities because of its relatively inexpensive production cost and its mobility.
著者
福田 智子 穂満 建等 フクダ トモコ ホマン ケント Fukuda Tomoko Homan Kento
出版者
同志社大学文化情報学会
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.10-22, 2015-11

資料紹介同志社大学文化情報学部蔵無名歌集(仮称『いろは和歌集』)は、和歌を句頭の文字によって、いろは順に分類・配列した歌集である。本稿では、歌頭が「の」「く」「や」「ま」「け」「ふ」「こ」「え」「て」の歌、計180首について、『新編国歌大観』を対象に他出歌集を検した。その結果、『古今集』『新古今集』などの勅撰集歌だけでなく、『拾玉集』などの六家集(秋篠月清集・長秋詠藻・山家集・拾玉集・拾遺愚草・壬二抄)に採られている歌が多く見られ、また、『伊勢物語』『源氏物語』の物語和歌が採られているといった、前稿までと同様の傾向が看取された。出典未詳歌は6首ある。そのうち「け」の歌2首は連続しており、また、「え」「て」の歌はそれぞれ歌群末尾に配されている。なお、異文傍書の中には、出典と目される歌集において、当該歌の近くに配されている他の歌の句を、目移りにより誤って記したと推定される箇所がある。異文を記入する際に、出典歌集を参看していた可能性が指摘される。
著者
岡田 暁生
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-59, 2011-03

講演記録音楽や舞踏は,芸術のシステムの中で長年その地位が低く扱われてきた.それは,古代ギリシャで身体を使う作業をすべて奴隷にさせていたことに起因し,長らくヨーロッパでは身体を使う職業が一段下とみなされてきた.このように音楽や舞踏といった芸術は極めて身体との関係性が強いジャンルである.作曲家が楽譜を書いているとき,様々な身体の格好,構えなどを想定している.つまり,楽譜は身体の格好の記録としての側面があることを理解する必要がある.時代によって,作曲家によって,あるいは様式によって,ある曲に適切な身体の格好というものが暗黙に合意されている.それは楽譜通りに音符をたどっていけば,そのような格好で演奏せざるを得ないようになっているからである.音楽は身体と音の振動,空気の振動といったものが互いにくっついて,たとえそこに身体が現前していない所でも,われわれはそこにその振動を発生させた身体を想定してしまう.その意味で音楽は非常に生々しい芸術といえるのである.In the long history of artistic systems, music and dance have not always enjoyed a high status, due to the fact that all physical activities were performed by slaves in ancient Greece. In Europe, businesses involving the body were considered lowly. Music and dance as art forms are strongly tied to bodily motions. When a composer writes music, he or she visualizes the various postures of the body. The notes, therefore, must also be understood as corresponding to physical postures. Among the different ages, composers and styles of music, there are implied and shared physical postures that are considered appropriate for certain music. When a musician follows the notes, he or she will be playing with these tacitly understood postures in mind. In music, the vibrations of the body, sound and air are interconnected. So a listener can imagine the posture which caused the vibration, without witnessing the actual posture in advance. In this sense, one can say that music is a very vivid form of art.
著者
田口 哲也[司会] 萩原 健次郎[詩朗読] ソルト ジョン[解説]
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.[25]-31, 2008-03

講演これは2007年10月11日(木曜日)に同志社大学室町キャンパスで開催された「大野一雄フィルム・フェスティバル at 同志社」においてなされた、ハーバード大学ライシャワー日本研究所のジョン・ソルト博士による暗黒舞踏と大野一雄に関する講演録である。ゲスト詩人、萩原健次郎による朗読詩も掲載されている。This is the full transcription of a lecture given by Dr. John Solt, associate in research of Edwin O. Reischauer Institute of Japanese Studies, Harvard University on the occasion of Kazuo OHNO Film Festival at Doshisha University, October 11, 2007, with the full text of the poem the honorable guest poet Kenjirou Hagiwara read at that time.
著者
田口 哲也 ソルト ジョン
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-42, 2007-03

2006年1月28日にタイのナショナル・アーチスト(日本の人間国宝に相当する)である伝統音楽家、ジャエン・クライシトン氏とのインタヴューを世界で最初に行った。これはそのときの模様を忠実に再現した記録である。インタヴューを行ったのはマハチューラロンコン大学、タマサート大学などで比較宗教学や哲学を講じた経験のあるハーバード大学ライシャワー研究所のジョン・ソルト博士。通訳を担当したのはバンコクのイタリア大使館勤務、ソムスリ・ポップピプグトラ氏で、同志社大学文化情報学部の田口哲也が同行した。ジャエン氏はどのようにして伝統音楽の道を選ぶようになったのか、また、どのような経緯でナショナル・アーチストの栄冠を獲得したのか、また、珍しいヨーロッパ、アメリカ公演のときの模様、タイの伝統音楽の特徴、さらには現在の音楽状況などについて詳しく語っている。