著者
後藤 学 大坊 郁夫 Goto Manabu Daibo Ikuo ゴトウ マナブ ダイボウ イクオ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.5, pp.93-99, 2005-03

本研究では、参加者69名に対する短期間での社会的スキル訓練の試みと、そのトレーニング効果について検討した。社会的スキル・トレーニングの応用可能性を視野に入れ、参加者が自分自身のコミュニケーション・スタイルを見直し、円滑なコミュニケーションに必要な基本的なスキルを刺激するための簡便なトレーニング・プログラムを構成した。2 日間にわたる短期集中的なトレーニングの結果、参加者の非言語表出性と対人感受性が上昇し、自己抑制傾向が強まっていることが確認された。また、今回のプログラムが多くの参加者の非言語的表出性を高めていた一方、それと比較すると日本的対人スキルにはさほどの影響を及ぼせなかったことが明らかになった。今後、社会的スキル・トレーニングをより幅広い場面で応用していくためには、より多様な条件での実践とその効果に関する詳細な分析が求められる。