著者
サルカー シャハナッツ 切岩 和 遠藤 昌伸 小林 智也 糠谷 明
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.143-149, 2008
被引用文献数
4

本実験では,培養液施用システム(点滴および底面給液)と培養液組成(修正園試処方および静大処方,EC 4 dS·m<sup>−1</sup> に調整)の組合せが高糖度トマトの生育,収量等に及ぼす影響を調査するために,2005 年 9 月から 2006 年 2 月に所定のシステムにて栽培を行った.生育,収量および果実サイズは,培養液組成にかかわらず底面給液システムで減少した.一方,可溶性固形物含量は,点滴給液より底面給液システムで,修正園試処方より静大処方でそれぞれ高かった.吸水量は,点滴給液に比較して底面給液で抑制された.培地のマトリックポテンシャルは,点滴給液より底面給液で高かった.培地溶液の EC は,点滴給液より底面給液で,また修正園試処方より静大処方で高かった.組み合わせ区では,底面給液×静大処方区で 29.6 dS·m<sup>−1</sup> ともっとも高く,点滴給液×修正園試処方区で 16.1 dS·m<sup>−1</sup> と最も低かった.葉中プロリン濃度は,11 月 7 日,12 月 2 日ともに培養液組成にかかわらず,点滴給液より底面給液において高かった.これらの結果から,底面給液における生育,収量の低下は,水ストレスではなく,主として塩類ストレスに起因するものと思われた.<br>