著者
田崎 義孝 葛西 正則 長谷川 雅明 遠藤 昌伸
出版者
新潟県農業総合研究所
巻号頁・発行日
no.17, pp.25-39, 2019 (Released:2019-08-27)

ウリ科作物(スイカ・キュウリ)の断根挿し接ぎ木法に対する人工光利用として、接ぎ木前および養生時における光照射が接ぎ木苗の活着および生育に及ぼす影響を調べた。昼白色LEDランプを光源とする接ぎ木前照射は、寡日照の環境条件下において葉色および乾物重の増加と穂木の奇形葉発生の軽減に効果が見られた。さらに、養生時照射は、接ぎ部の癒合と台木の不定根発生を促進する効果と共に、穂木又は台木の子葉に生じる褐変や黄化を軽減する効果が見られた。光合成有効光量子束密度(PPFD)は、接ぎ木前では40μmol・m-2・s-1、養生時では10μmol・m-2・s-1の弱光による各3日間の連続照射で十分な効果が得られた。
著者
サルカー シャハナッツ 切岩 和 遠藤 昌伸 小林 智也 糠谷 明
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.143-149, 2008
被引用文献数
4

本実験では,培養液施用システム(点滴および底面給液)と培養液組成(修正園試処方および静大処方,EC 4 dS·m<sup>−1</sup> に調整)の組合せが高糖度トマトの生育,収量等に及ぼす影響を調査するために,2005 年 9 月から 2006 年 2 月に所定のシステムにて栽培を行った.生育,収量および果実サイズは,培養液組成にかかわらず底面給液システムで減少した.一方,可溶性固形物含量は,点滴給液より底面給液システムで,修正園試処方より静大処方でそれぞれ高かった.吸水量は,点滴給液に比較して底面給液で抑制された.培地のマトリックポテンシャルは,点滴給液より底面給液で高かった.培地溶液の EC は,点滴給液より底面給液で,また修正園試処方より静大処方で高かった.組み合わせ区では,底面給液×静大処方区で 29.6 dS·m<sup>−1</sup> ともっとも高く,点滴給液×修正園試処方区で 16.1 dS·m<sup>−1</sup> と最も低かった.葉中プロリン濃度は,11 月 7 日,12 月 2 日ともに培養液組成にかかわらず,点滴給液より底面給液において高かった.これらの結果から,底面給液における生育,収量の低下は,水ストレスではなく,主として塩類ストレスに起因するものと思われた.<br>