著者
村瀬 洋 シュリー ナイヤー
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.2179-2187, 1994-11-25
参考文献数
18
被引用文献数
148

2次元画像から3次元物体を識別し,その物体の向きを検出する技術は,工業部品の分類など実用的な価値は高い.従来の代表的な手法としては,画像からエッジや表面形状などの3次元構造に着目する方法があるが,この枠組みでは3次元構造の抽出自体が困難であり,任意形状の物体に対して高い精度は得られていない.本論文では,2次元照合により3次元物体を認識する手法について述べる.2次元照合による手法は,3次元特徴の抽出が不要である等の特長はあるが,見る方向や光源の位置により複雑に変化する2次元画像をあらかじめ学習しておくことが記憶容量,計算量の点で困難であると考えられ,従来試みられていなかった.本手法では画像符号化を基本としたパラメトリック固有空間法の提案により,少ない記憶容量で3次元物体を2次元画像の集合体として学習することができるようになった.その結果,2次元画像例から物体を容易に学習すること,および困難な特徴抽出なしで3次元物体の認識とポーズ推定をすることが可能となった.本論文では,手法の提案と共に他の2次元照合的な手法との比較実験結果についても述べる.