著者
スバルナキッチ クンティニ 江前 敏晴 磯貝 明
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.325-335, 2008
被引用文献数
1

紙のマクロな構造は,いろいろな意味での紙の挙動に影響する。本研究では,紙のマクロな構造と吸水挙動の関係を検討した。坪量,叩解の程度及びウェットプレス条件を変えることにより,マクロな構造の異なる市販広葉樹クラフトパルプの試験用手すき紙を調製した。これらの試料について構造的な特性及び吸水特性を調べた。水との接触角を測定した結果は,自動走査吸液計の結果と同様の傾向を示した。吸水挙動は紙の表面構造に対する高い依存性を示した。平滑な表面ほど,水滴は横に広がりやすく,接触面積が増加する傾向があった。紙の表面構造を変えるどのような調製条件の場合でも,紙の表面平滑性の変化で一貫して説明できるような吸水特性を示した。表面化学的には,坪量の増加はサイズ剤であるAKDの歩留まりを向上させ,水との接触角は大きくなった。