著者
スーマン ランジャン センサルマ 岡田 憲夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.299-308, 2006

本研究では智頭町・市瀬集落の災害リスク軽減問題に伴うコンフリクトの時間的展開のプロセスを理解することを目的として、当該コンフリクトを二段階 (1985-2002, 2002-2005現在) に分けてモデル化する。各段階のコンフリクトは静的な構造とみなして、それをGMCRモデル (Graph Model for Conflict Resolution) により定式化し、分析を行った。ついで、第一段階と第二段階の間のごく短期間に構造変化が発生したと定性的に解釈した。そのような構造変化が結果として生じたのには、社会的な衝撃が関与していたと考えた。すなわち自然災害のインパクトに、地方行政主体における政治的な転換が相乗的に関係したと推測されることを定性的に分析した。このように二つの分析法を組み合わせた方法論を提示することにより、本研究で取り上げたような静的・動的構造特性を有した実コンフリクトをシステム論的に記述することが有用であることを示した。