著者
ダニエラチェ セバスチアン
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

硫黄には質量数32, 33, 34, および36の四つの安定同位体が存在する。この比は大気や水中では蒸発や凝集といった物理変化や化学反応により、変わるがその変化は質量依存の法則に従う。地球史の前半をしめる20億年前以前の硫化鉱物は上述の質量依存則に従わない同位体分別を被っていることが知られている。この非質量依存同位体分別の原因は二酸化硫黄(SO<SUB>2</SUB>)の光解離反応に由来すると一般的に考えられている。紫外線光解離反応により生成された硫黄化合物と元素状硫黄は海水中に沈着し、最終的にBaSO<SUB>4</SUB>とFeS<SUB>2</SUB>として堆積したものと見なされる。SO<SUB>2</SUB>分子の紫外吸収断面積を用いると光解離時の同位体分別係数が求まる。本発表では理論計算による振動‐回転識別したSO<SUB>2</SUB>紫外線スペクトルを計算して古大気におけるさまざまな圧力と温度条件による自己遮蔽と同位体効果についてディスカーションをする。