著者
簗田 満 ディーン グリサダ チムディ ウイロンロン 松永 勝彦
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.390-393, 2000

函館近郊を流れる3河川の表面水を採水し, フルポ酸激 (FA-Fe) と全溶存鉄 (TD-Fe) を吸光光度法に よって測定した.森林で覆われた山間部を流れる宿野辺川の上流におけるFA-Feは0.2μM程度と極めて低濃度であったが, 森林地帯の平地ではその濃度は一ケタ高濃度になった. この河川に流入する小さな小川のフルポ酸-鉄濃度が高いことに起因していると考えられる.他の2河川の下流におけるその濃度は宿野辺川の下流の濃度とほぼ一致していた. 宿野辺川, 久根別川, 大野川におけるFA-Fe/TD-Fe比はそれぞれ82±8, 83±2, 84±2%であり, TD-Feの大部分はFA-Feであることを示唆している.<BR>なお, 本研究はソルト・サイエンス研究財団のプロジェクト研究「沿岸海水環境の変化と生態系への影響いただいた東京農業大学名誉教授杉二郎先生に心から謝意を表します.
著者
松永 勝彦 チムディ ウイロンロン ディーン グリサダ スワンゲアンシィ ジュンプル 戸屋 健治
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.373-376, 1999

湾内に生育する7種類のマングロブ樹木の葉ならびにマングロプ底泥のC, N含有量ならびにδ<SUP>13</SUP>C値を測定した. 枯れ葉のCIN比は103±20で, 底泥のその比15.2±1.4と大巾に異なっていた. 一方, 枯れ葉ならびに底泥のδ<SUP>13</SUP>C値はそれぞれ-30.2±1.3,-26.3±1.0‰であった. 底泥の値は数編ポジティブであるが, 底泥中でバクテリアによるフラクショネションによるもので, 底泥の有機物質起源は落下した葉と推定される. エビの養殖地の排水はキャネルを通して湾内に流入しているが, キャネルの底泥のδ<SUP>13</SUP>C値は-26.4±1.0‰でマングロブ底泥のそれと極めて近似していることから, エビの餌 (δ<SUP>13</SUP>C=-22.5±0.4‰) による影響はほとんど受けていないと推定される.