著者
上村 啓二
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.255-260, 1989

最近, 当社では小型パッケージ (Fully Engineered) ROを発売し始めた.<BR>構造上, 処理プロセス上のシンプル化を極端に図った装置として中東の砂漠や離島などの遠隔地で主として使用され評価されている.<BR>装置のこの分野の将来は無限に広がっていると思われるが, その道を拓くことはまったく先例先人のない道を行くことである.<BR>本紙では, その装置の特徴や開発初期の失敗例などを紹介し, それらをどのように克服し今日にいたっているかを説明する.
著者
簗田 満 ディーン グリサダ チムディ ウイロンロン 松永 勝彦
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.390-393, 2000

函館近郊を流れる3河川の表面水を採水し, フルポ酸激 (FA-Fe) と全溶存鉄 (TD-Fe) を吸光光度法に よって測定した.森林で覆われた山間部を流れる宿野辺川の上流におけるFA-Feは0.2μM程度と極めて低濃度であったが, 森林地帯の平地ではその濃度は一ケタ高濃度になった. この河川に流入する小さな小川のフルポ酸-鉄濃度が高いことに起因していると考えられる.他の2河川の下流におけるその濃度は宿野辺川の下流の濃度とほぼ一致していた. 宿野辺川, 久根別川, 大野川におけるFA-Fe/TD-Fe比はそれぞれ82±8, 83±2, 84±2%であり, TD-Feの大部分はFA-Feであることを示唆している.<BR>なお, 本研究はソルト・サイエンス研究財団のプロジェクト研究「沿岸海水環境の変化と生態系への影響いただいた東京農業大学名誉教授杉二郎先生に心から謝意を表します.
著者
松永 勝彦 チムディ ウイロンロン ディーン グリサダ スワンゲアンシィ ジュンプル 戸屋 健治
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.373-376, 1999

湾内に生育する7種類のマングロブ樹木の葉ならびにマングロプ底泥のC, N含有量ならびにδ<SUP>13</SUP>C値を測定した. 枯れ葉のCIN比は103±20で, 底泥のその比15.2±1.4と大巾に異なっていた. 一方, 枯れ葉ならびに底泥のδ<SUP>13</SUP>C値はそれぞれ-30.2±1.3,-26.3±1.0‰であった. 底泥の値は数編ポジティブであるが, 底泥中でバクテリアによるフラクショネションによるもので, 底泥の有機物質起源は落下した葉と推定される. エビの養殖地の排水はキャネルを通して湾内に流入しているが, キャネルの底泥のδ<SUP>13</SUP>C値は-26.4±1.0‰でマングロブ底泥のそれと極めて近似していることから, エビの餌 (δ<SUP>13</SUP>C=-22.5±0.4‰) による影響はほとんど受けていないと推定される.

1 0 0 0 防災堤防

著者
近藤 泰夫
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本塩学会誌 (ISSN:03695646)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.137-153, 1955

昭和21年12月21日の土佐沖地震を起因とする地盤沈下の問題が中国及び四国の海岸に関係する各種構造物に対して重大な影響を与えたので、学術振興会を始め建設省中国四国地力建設局その他の各種機関を通じて、沈下の調査とその対策について研究が行われた。学振第33特別委員会第4分科会 (塩田) 及び四国地方地盤沈下調査委員会の塩田部会において、塩田外堤の現状、対策、維持管理等について行つた調査はこれである。<BR>昭和28年9月25日台風13号は愛知三重両県下の海岸堤防に莫大な災害を与えたので、その後旧計画について建設省関係各機関の協力によつて斬新な理論的考察がなされた、その一部を本講に紹介する。<BR>最後に昭和29年9月13日台風12号及び同年9月26日台風15号が香川県下に与えた災害及びその後旧対策について言及したい。
著者
江川 勉 田淵 重造
出版者
The Society of Sea Water Science, Japan
雑誌
日本塩学会誌 (ISSN:03695646)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.171-179, 1960

食塩中の硫酸根の定量法として, EDTAによる迅速分析法の改良について, 実験を行った.<BR>1. 前報における負誤差の原因を検討した結果, 硫酸バリウムの析出が不完全であることが最大原因であると推定した.<BR>2. この推定に基づいて, 沈殿の生成を完全にするために, 常温反応で生成した硫酸バリウムを, 5分間熟成させた後, 50%メチルアルコール10ccを添加することによつて, 短時間に反応を完結させ, 分析所要時間を約15分に短縮できた. 硫酸イオンの含有量が微量の場合には, 液量およびアルコール添加量を変える必要がある.<BR>3. 本方法の分析誤差は, 硫酸イオン約10mgを含む試料溶液において, 0.86%以下であつた.<BR>4. 海塩関係の各試料についても, 十分適用できることを認めた.