著者
壁谷 久代 斉藤 一枝 畠山 妃美子 栃原 きみえ カベヤ サイトウ ハタケヤマ トチハラ H. KABEYA K. SAITO H. HATAKEYAMA K. TOCHIHARA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.27, pp.71-80, 1981-03-31

"顔面の各形態的因子と個性との関係を知るために,眉,眼,鼻,□,顔型の各々の官能検査結果を基に,重要と思われる顔の各形態的因子を選出し,顔面の試料を作成した.そしてその試料を用いて,強い-弱い,明るい-暗い,整っている-整っていない,あたたかい-冷たいの4形容詞対についてSD法により官能検査を行い,多変量解析によって両者の関係を検討したところ,次のような結果を得た.1.強い-弱いについては眉角度が最も影響し,次に眼の面積,眼角度の順であり,鼻,□,顔型の影響は少ないという結果であった.2.明るい-暗いについては眼の面積が特に大きく影響するという結果で,次には黒眼径/眼開大経が高い係数を示した.従って三白眼ほど暗いという結果であった.3.整っている-整っていないでは,眼の面積が最も大きく影響し,次には眉角度,鼻幅の順となっている.しかし評価の因子をもつこの形容詞対については,累積寄与率がやや低いことから別の要因も考えられる.4.あたたかい-冷たいについても眼の面積が最も大きく影響するという結果であった.以上の重回帰分析結果より,眼の面積は個性を判断するためにかなり重要な形態的因子であると考えられる.またクラスター分析においては,強い-弱いという形容詞対により大きく3群に分かれていることから,個性を表わすためには重要な形容詞対であると思われる.しかし,これらは平面的な,しかもモデル化した試料を用いているため,今後はこの結果を基に,生体へと発展させ,被服の着装効果との関係を明らかにしていきたいと考えている.終りに,本研究の官能検査の検査者として協力して下さった服飾専攻の学生諸姉に対し深く感謝いたします.なお,本研究は,日本家政学会第32回総会において発表したものである."
著者
"栃原 きみえ 斉藤 一枝 水口 綾子 池田 恵子" トチハラ サイトウ ミズグチ イケダ K. "TOCHIHARA K. SAITO A. MIZUGUCHI K." IKEDA
雑誌
名古屋女子大学紀要 = Journal of the Nagoya Women's College
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-12, 1979-03-15

"被服の着装効果と人の個性との関係を明らかにするために,個性の要素の1つである顔の形態的因子を研究対象とし,本学学生222名を被験者として,1/2大の写真を用いて各部位の計測をした.1.眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度 眉,目,鼻,口の各部位の長径,幅径および角度を計測し,最大,最小,平均,標準偏差を求めた.2.眉,目の長径,幅径,角度の左右差と出現率 顔の因子の左右アンバランスは個性の研究に必要と考え,眉長,眉幅,眼裂長,眼開大径および眉頭を基点とする眉尻の角度,眼頭を基点とする眼裂の角度の左右差について検討したが,左右同径,および同角度は極めて少なく,各項目ともに約80~90%の者に左右差が認められ,高い出現率であった.3.眉,目,鼻,口の相関係数 眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度の120項目について相関係数を求めたところ,41項目が有意であった.その中で眉長,眉幅,眉角度,眼裂長,眼開大径のおのおの右と左間の相関係数が特に高い傾向を示した.そこで類型化のための資料には,左右のいずれか一方でよいと判断し,本研究では右を用いることにした.4.眉,目の類型化 4-1 眉,目の長径,幅径による類型化と出現率 本研究を進めるにあたって,先ず顔の因子の類型化が必要と考え,今回は眉と目を取り上げ,長径,幅径の標準偏差±3σを用いて5段階に分け,両者の組み合わせによって類型化を試み出現率を求めた. 4-2 眉,目の角度による類型化と出現率 眉長と眉角度および眼裂長と眼角度の各標準偏差を用いて類型化を試みたが,上り眉は52.7%と過半数を占め,下り眉は31.1%また0度つまり眉頭と眉尻が水平線上にある眉は16.2%であった. 目の場合,上り目の出現率は97.7%と圧倒的に高く,下り目は0.5%,0度は1.8%と低い傾向であった. 4-3 眉の特殊型 眉の形には俗にいう三日月型,への字型などがあるが,これらの形態と個性との関係を追求するために類型化を試みたが,全体の中での出現率は三日月型が22.5%,への字型が14.0%であった. 4-4 一重まぶた,二重まぶたの例 目の形態には俗にいう一重まぶた,二重まぶたがあるが,出現率は一重まぶたが55.4%二重まぶたが33.0%,また左右のいずれか一方が一重まぶた,または二重まぶたのいわゆる左右アンバランスの目は10.8%であった.以上のように一重まぶたの者が圧倒的に多かったのは,東洋人種である日本人の特徴を裏付けているものといえよう. 7-5 眉,目の位置に関する類型化 左右の眉頭間および眼頭間の各標準偏差を用いて5段階の類型化を,また眉の下縁と目の上縁間の標準偏差を用いて眉,目間の類型化を試み,眉と目の位置に関する形態を把握した.以上,眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度を数値として確認し,また眉,目について類型化を試みたが,続けて鼻,口の類型化を試みたいと考えている.今後これらの資料をもとにして個性との関係を追求し,更に被服との関係についても明らかにしてゆきたいと考えている.終りに本研究の資料収集に御協力くださった高梨亨子講師,また被験者として御協力くださった服飾専攻の学生諸姉に,深甚の謝意を表します."