著者
ドネリー ピーター キッド ブルース トンプソン リー
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.15-24,118, 2006-03-20 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

本論文で、われわれは国際オリンピック委員会 (IOC) が主張するスポーツに対する道徳的権限を考察し、それがスポーツに明白で建設的な影響を与えた領域を特定する。また、われわれは1999年を改革の重要な時期とみなし、それ以来の進歩的な改革の勢いに則って、スポーツが直面する重要な問題に取り組むことによってIOCはその道徳的権限をより確かなものにすべきである、と提案する。その重要な問題とは、IOCの運営に関する内部の問題と、スポーツとオリンピック大会に関する外部の問題に分けられる。提案される内部の改革は、IOCの民主的組織 (特に委員資格や地域の代表制や説明責任に関するもの)、IOC会員の男女公平、オリンピック・ソリダリティの試み、そして国内オリンピック委員会の責任に関するものである。提案される外部改革は、スポーツ界における児童の公正な扱い、スポーツ・ユニフォームや用具の製造過程における公正な労働慣行の導入、選手の健康と安全への一層の関心、そしてオリンピック大会の開催地への影響と公平さについての独立した評価の導入、に関するものである。
著者
チョン ヒジュン トンプソン リー
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.17-24, 2007

本稿は、2002年サッカーワールドカップが韓国社会にもたらした劇的な社会政治的影響を分析し、それに基づいて2006年大会を考察する。2002年ワールドカップ大会は保守的な影響と進歩的な影響、という両方の逆説的影響があった。韓国代表チームの成功とその結果として生まれた応援は、長らく権威主義と家父長制的保守主義に支配されていた韓国に、革新的政権が誕生する決定的な要因であった。ワールドカップは階級や地域や性別などに分裂していた韓国社会を統合することができた。しかし、その統合はナショナリズムによるものであった。韓国代表の勝利によって引き起こされた狂気は、一部の知識人にはファシズムの現れとみなされた。レッドデビル現象の特徴は盲目的な愛国主義と歪曲されたナショナリズムが、政治的無関心を煽り個人の主体性を抑制する群集心理であった。それに加え、開催期間中に起こった多くの重要な政治的社会的出来事は、メディアによって無視され、忘れられたりもした。2002年に比べて2006年ワールドカップは、それと違う体験を韓国の人々に与えた。代表チームが勝ち進むにつれて国中が次第に熱狂していった2002年に対して、2006年には開催の数ヶ月前から様々な問題が出始めた。特に、民間放送局による全面的放送はチャネルを選ぶ権利を視聴者から奪った。メディアと資本とスポーツの三角同盟には研究しなければならない問題がたくさんある。