著者
ナ スクヒ チョン ミンクン ソン ヨンウン
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-10, 2011

立位姿勢(直立ないし歩行)での長時間の作業は, 就業時や日常の活動においても普通にあり, 腰痛や下肢障害の危険因子の一つである. 本研究では異なる4種類の床面状態(3種類のフロアマットとフロアマットなし)で歩行時の床反力の比較を行った. 床反力は靴内装着型および固定型足底圧計測システムの両者によって測定した. 6名の男性被験者(平均体重=72.4±7.5kg)は4種類の状態の床を裸足で歩行し, 2種の測定システムで足底圧を同時に記録した. 平均床反力, 2つの極大値(踵接地および足趾離床), および靴内装着型足底圧計測システムにより測定された最大床反力は床表面状態により有意に異なる測定値を示し(<i>P</i><0.05), 床材がない場合が828.9±114.2Nで最大の床反力であった. しかしながら, 固定型足底圧計測システムによる測定では有意な差は得られなかった. フロアマットがない場合と比較すると3種のフロアマットすべてが床反力を減少させたが平均床反力および最大床反力(最大値と2つの極大値)はマットの厚さと材質の違いにより違いがあった. 以上のことから, バイオメカニカルな特性に従った適切なフロアマットの選択を行うことが作業時での疲労と不快感の減少に有効であると考えられる.