著者
ニシムラ 博明
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

平成5年度より開始された科研費補助をもとに2次元弯曲結晶を用いたモノクロカメラの設計、製作を進め、平成7年度に至る3年間で以下のような結果を得た。(1)5チャンネルX線モノクロカメラを設計、製作し、技術的問題点を明らかにした爆縮プラズマ観測用のシ-ドガスとしてArを選び、さらにプッシャー中にClを混入させ、このAr(Ar^<16+>Heb,Ar^<17+>Lyb)とCl(Cl^<15+>Heb,Cl^<16+>Lyb)とおよびAr^<16+>Heb線とAr^<17+>Lyb線との間に位置する連続線からの5波長それぞれの単色画像を得るべく、Ge(311),Si(311),Si(220),Quartz(11.2),Quartz(10.-1)の2次元弯曲結晶を製作し、微調機構を有する超小型の結晶ホルダーに組み込んで5チャンネル単色X線カメラを完成した。X線フレーミングカメラへの接続に先立ち、X線フィルム、X線CCDカメラによる時間積分像を撮像することに成功した。(2)X線駆動型爆縮Arコアープラズマ、Clプッシャープラズマの観測し、スペクトル解析を行い空間分解コアー温度分布の計測に成功した。阪大レーザー研。激光XII号ガラスレーザーシステムを用い、X線駆動で得られた爆縮からArコアプラズマを作り、分光画像を得、コア温度の空間分布、さらに燃料・プッシャー混合領域の温度分布を導く実験データを得た。また爆縮流体シミュレーションとの比較から実験における爆縮過程の解析を行った。(3)X線フレーミングカメラへの接続を成功させるための光軸調整技術が明確になった。結晶面と結晶の格子面とは最大1ミリラジアン程度のズレが生じるため、予め空間を規定する針などを設けその光学的な影絵とX線影絵像とを撮影し、両者のズレのデータを基に光軸調整すれば、所定の結果が得られる事がわかり、今後の展望を明らかにした。