著者
牟田 和恵 古久保 さくら 伊田 久美子 熱田 敬子 荒木 菜穂 北村 文 岡野 八代 元橋 利恵
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ジェンダー平等実現のための新たな形・次元でのジェンダー・フェミニズム研究の構築を目的とし、調査研究・文献研究・実践活動の三つの方法論によって研究を行った。貧困やケアの偏在等の問題に関する新たなフェミニズム理論の重要性と、一見女性に焦点化していないように見える幅広い社会問題への関心や運動にとってのフェミニズムの有効性を確認した。また海外国内ともに「慰安婦」問題やセクハラ・性暴力と闘う運動を柱としてジェンダー平等に近づく研究と実践がエンパワメントされており、研究と運動の連携がジェンダー平等の実現には不可欠であることを再確認した。女性情報発信に資するため制作したwebサイトは今後も運営を行っていく。
著者
野村 大成 加藤 秀樹 渡辺 敦光 佐々木 正夫 馬淵 清彦 藤堂 剛
出版者
大阪大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1992

「放射線被曝による継世代発がん」に関して、ヒトにおいては、馬淵班員が広島・長崎の被爆者のF_1集団72,000人の調査を行った。1946-89年の死亡者中で白血病63症例、リンパ腫22症例を発見したので、詳しい診断を確認の上、授精前被曝との相関が調査できるようになった。基礎研究では、渡辺班員がC3H雄マウスに^<252>Cf中性子放射線照射することにより、ヘパトーマが非照射F_1(3%)の14倍の頻度で発生していることを発見し、野村実験を異なった系統マウスと原爆類似放射能で確認した。野村は、LTマウスにX線(3.6Gy)を照射することによりF_1に10倍の頻度で白血病が誘発されることを発見した。ICRマウスでは見られなかったことである。加藤班員は、これらF_1での発がんに関与した遺伝子のマッピングのため、TemplateDNAの多量、短時間処理法を確立した。佐々木班員はヒトにおける父親由来の突然変異としてRb遺伝子を調べ、Rb腫瘍細胞では80%の症例に+1g異常が観察されるが、9例中8例までが母親由来の1gが過剰になっていることが分かった。新しい発見であり、今後大きな問題になるだろう。藤堂班員は、紫外線によるDNA損傷のうち、がんや突然変異と深く関与してると思われる6-4産物を特異的に修復する酸素を初めて発見した。国内外で大きな反響を呼び、新聞誌上でも大きく報道された。英国核施設従業員(父親)の授精前被曝によりF_1にリンパ性白血病が相対リスク9.0(P=0.047)の高さで発生しているとの報告が1993年3月6日にあった(BMJ)。この報告は、Gardner論文と同じく野村のマウス実験と一致しており、より一層、ヒト疫学、マウスを用いた基礎研究が必要となる。また、内部被曝や低線量率長期被曝の精原細胞および卵細胞におよぼす影響がクローズアップされるようなった。
著者
藤堂 剛 加藤 秀樹 渡辺 敦光 佐々木 正夫 馬淵 清彦 野村 大成
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

1.マウスを用いた継世代発がん:野村はLTマウスを用い精子および精子細胞期へのX線(5.04Gy)照射により、F_1マウス非照射群の約10倍の頻度でリンパ性白血病が誘発されたが、精原細胞期照射ではICRマウスと同様に白血病は誘発されなかった。本年度は、N5マウスを用いたところ、精原細胞期照射でも約6倍の頻度でリンパ性白血病が発生し、ICR,LTと異なる結果となった。白血病発生に系統差がある。また、渡辺は原爆放射能に近い線室の^<252>Cf(中性子66%)をC3H雄マウスの精子期あるいは精原細胞期に1回全身照射(O.5,1.0Gy)し、C57BL雌マウスと交配し、F_1を14.5ケ月後に屠殺したところ、いずれの群でも、肝腫瘍が約10倍も増加した。2.原爆被爆者の子供の死亡率調査:両親の被爆線量に伴う、全死因及び癌死亡の有意な増加は認められない。発癌率調査でも殆ど認められないであろう(馬淵)。3.継世代発がん機序:マウスにおける継世代発がんの遺伝様式はヒトでのRB遺伝子やp53遺伝子の変異によるがん発生と似ている。1)網膜芽細胞腫患者の突然変異の起源を調べると情報の得られた16例のうち15例までが父親由来であり、微視突然変異(RB1)では67%に欠失・挿入・塩基置換なとどの突然変異が認められた(佐々木)。2)継世代高発がんN5マウス家系においてもp53の変異が検出された(野村)。3)マウス肺腫瘍の発生には、その70%を決定する単一の優性遺伝子が存在し、マイクロサテライトマーカーを用い調べると、第六染色体上のK-rasより10cM遠位にありK-ras intron内に欠失が存在することも明らかにした(野村、加藤)。4)藤堂は、紫外線による損傷を持つDNAに特異的に結合する蛋白を2種見い出した。1つは(6-4)光産物に対する光回復酵素で、酵素蛋白の精製に成功し、この酵素が損傷DNAを元に形に修復する活性を持つ事を明らかにした。
著者
釘原 直樹 植村 善太郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大事故や感染症などの災害が発生した場合、マスメディアは非難攻撃の対象を発見し、追及する。ある対象(スケープゴート)を攻撃する記事数は時間とともに変化し、対象自体が次々と変遷する。本研究ではそのような現象を説明するために、非難対象と量の時系列的変遷を説明する波紋モデルを構成した。JR福知山線脱線事故、0157やSARSなどの感染症、口蹄疫などに関する新聞や週刊誌の記事分析をした結果、非難対象が個人→集団→システム→国家→社会へと変遷する傾向があることが確認された。またこの現象には頻度知覚や記憶のバイアスもかかわっていることが実験によって見いだされた。
著者
野村 大成 藤堂 剛 斉藤 直 本行 忠志 中島 裕夫 杉山 治夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

1. 異なる線量率(0.57Gy/分〜0.0002Gy/分)で発生腫瘍の異なる2系統のマウスC3H/HeJ,C57BL/6Jに、6週齢より7日間隔で4回Co-60ガンマ線を照射(総線量2Gy,6.8Gy)し、腫瘍発生における線量-線量率効果係数(DDREF)を求めた。その結果、(1) 低線量率照射により、全腫瘍および固型腫瘍発生の遅延(両系統2および6.8Gy)と白血病発生に顕著な線量率効果が認められた。DDREFは6.8Gy照射で20〜40、2Gy照射で約2であった。(2) 固型腫瘍については、全固型腫瘍発生率でみるとC57BLマウスで線量率効果を認めるが、C3HマウスではDDREFは1に近かった。しかし、卵巣腫瘍が高発するため、卵巣腫瘍およびC57BL/6Jマウスに自然発生する細網肉腫を除外したが、傾向は変わらなかった。臓器別にみると、肺、乳腺、下垂体腫瘍に線量率効果が認められ、DDREFは2〜3(両系統)であった。2. X線、^<60>Coγ線、^<252>Cf中性子線による胎児死、奇形、がん、突然変異の同一個体検出をPTHTF_1法を用い行った。X線では、いずれも明確な線量率効果を認めた。また、^<252>Cfによる突然変異とがん発生のRBEは、^<60>Coγ線とX線に対し、いずれも6〜9であった。3. DNA二重鎖切断欠損培養細胞と野生型培養細胞を用いた、^<60>Coγ線による細胞致死効果の線量率効果は、大部分が二重鎖切断の修復によるものだが、一部それ以外のプロセスがある。4. 微量放射能によるヒトでの遺伝子変異の調査:チェルノブイリ事故による放射能被曝者(放射性物質除去作業者、汚染地域住民など)の血液採取し、白血病早期発見のため、WT1遺伝子発現の定量と分子レベルでの遺伝子変異の高感度検出法の開発を行った。
著者
松永 和浩
出版者
大阪大学
雑誌
待兼山論叢. 史学篇 (ISSN:03874818)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.55-81, 2007-12-25
著者
思 沁夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、民主化以降のモンゴルにおける環境及び貧困問題の象徴である「ニンジャ」を研究対象とし、現地での調査、対話、交流などを通じて「ニンジャ」問題が形成される社会的要因を解明するとともに、モンゴル政府、国民、国際社会に対し解決案を示した。また、本研究は「ニンジャ」研究の草分け的な役割を果たし、 「ニンジャ」問題をモンゴル、さらに国際社会へ広く発信する努力を行った。
著者
牟田 和恵 丸山 里美 岡野 八代
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、第三者からの精子提供によって女性カップルのもとに生まれた子について、インタビュー調査の設計を行うとともに、7ケースの事例調査を実施した。またフランスにおいては、関連法についても調査した。事例調査は、3ケースは日本、3ケースはフランス、1ケースはニュージーランド(調査自体はイギリスで実施)のものである。フランスは2013年に同性婚が法制化され、同性カップルの養子縁組も可能になったが、同性カップルの生殖補助医療の利用は認められておらず、現政権のもとで議論がなされている最中である。ニュージーランドは、調査対象者が子をもうけた時点では同性婚は法制化されていなかったが(2013年に法制化)、生殖補助医療の利用は可能であった。各国の法制度のあり方と、それと関連はするが相対的に独立した当該家族に対する社会の許容度は、情報開示と子のアイデンティティのあり方に強く影響するが、それだけではなく、子の発達段階、家族の居住形態、精子提供者をどのように得たかなどによってもかなり異なっていることが明らかになった。同性婚はもとより、同性カップルの生殖補助医療が認められておらず、当該家族に対する社会の許容度もきわめて低い日本では、同性カップルが子をもうけるということ自体が、金銭的にも社会資源の面でも特権的な階層にしか可能ではない。それにもかかわらず子をもうけたカップルが直面した・している困難と、その際に取った戦略、そして同様の問題が他国においてどのように生じているかに関する事例を収集することによって、当該家族のもとで育つ子の法的権利・福祉のあり方を検討していくための基礎的な整理を行った。
著者
平 雅行
出版者
大阪大学
雑誌
大阪大学大学院文学研究科紀要 (ISSN:13453548)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.41-151, 2000-03-15
著者
伊川 正人
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

エネルギー産生などに重要な細胞内小器官であるミトコンドリアには、細胞核と独立したゲノムDNAが含まれる。また、ミトコンドリアDNAに変異があると、様々な病態を引き起こすことが知られている。今回、我々は最新の標的遺伝子組換え技術であるCRISPR/CAS9システムを活用することで、ミトコンドリアDNA (mtDNA) の標的遺伝子組換え技術を開発することを試みた。ES細胞でのミトコンドリア遺伝子破壊を試みたが、残念ながら、標的遺伝子が破壊された細胞株を得ることができなかった。今後は、ES細胞を用いて処理数を増やすと同時に、ミトコンドリア移行効率を上げるなどの、戦略変更の必要があると結論した。
著者
中山 一麿 落合 博志 伊藤 聡
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

昨年度後半から本格始動させた覚城院の調査であるが、調査が進むにつれて新たな発見があり、多義に亘る史料の宝庫として、その実態把握を加速させている。字数制限上、覚城院に関する主たる成果のみ以下に記す。6月には、中山一麿「寺院経蔵調査にみる増吽研究の可能性-安住院・覚城院」(大橋直義編『根来寺と延慶本『平家物語』』、勉誠出版)において、新出の増吽関係史料を中心に、増吽やその周辺の研究を進展させると共に、聖教調査研究が新たな発展段階にあることを示唆した。9月には本科研を含めた6つのプロジェクトの共催で、「第1回 日本宗教文献調査学 合同研究集会」が行われたが、中山はその開催に主導的役割を果たし、二日目の公開シンポジウム「聖教が繋ぐ-中世根来寺の宗教文化圏-」では基調報告として「覚城院所蔵の中世期写本と根来寺・真福寺」を発表し、覚城院から発見された根来寺教学を俯瞰する血脈の紹介を交えつつ、覚城院聖教が根来寺・真福寺などの聖教と密接に関係することを報告した。加えて、同時に開催された寺院調査に関するポスターセッションでは、全29ヵ寺中、本科研事業に参加する研究者5名で計10ヵ寺分(覚城院・安住院・随心院・西福寺〈以上中山〉・木山寺・捧択寺〈以上向村九音〉・善通寺〈落合博志〉・地蔵寺〈山崎淳〉・薬王寺〈須藤茂樹〉・宝泉寺〈中川真弓〉)のポスターを掲示した。3月には「第1回 覚城院聖教調査進捗報告会―今目覚める、地方経蔵の底力―」を開催し、覚城院調査メンバーから9名の研究者による最新の研究成果を公表した。同月末刊行の『中世禅籍叢刊 第12巻 稀覯禅籍集 続』(臨川書店)においては、覚城院蔵『密宗超過仏祖決』の影印・翻刻・解題を掲載し、翻刻(阿部泰郎)・特論(中山一麿)・解題(伊藤聡・阿部泰郎)がそれぞれ担当して、本書の持つ中世禅密思想上の意義やその伝来が象徴する覚城院聖教の重要性を論じた。
著者
永岡 崇
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

アジア・太平洋戦争において、天理教の信徒たちが行ったひのきしんがもつ意義を、帝国日本というより大きな文脈に位置づけなおすため、1940年代前半の代表的ひのきしん論である諸井慶徳『ひのきしん叙説』と、帝国日本による「聖戦」の教義を端的に示すと思われ、天理教のひのきしん隊も多数参加した橿原神宮神域拡張事業において語られた言説との比較を試みた。天理教信徒にとって、「聖戦」の教義はひのきしんの教義と深いところで響きあっており、前者を後者に手繰り寄せる形で総力戦の遂行を主体的に担っていったと思われる。また、「聖戦」の教義がひのきしんのような宗教思想・信仰と親縁性を有し、それへの読み替えを通じて実践されたことを明らかにし、アジア・太平洋戦争の宗教戦争としての性格を改めて見直し、その宗教性の受け皿となった宗教教団や社会集団の思想・実践との比較を行うとともに、それらとの接触の様相を分析していく必要性を提起した。これまで遂行してきた作業によって、戦後の宗教教団にとって非本来的で否定的なものとしてのみとらえられがちであったアジア・太平洋戦争期の経験を、現代の教団、またその教義や信仰のあり方を構成する重要な要素として位置づけ、負の側面へと深化していく宗教性のありようを積極的にとらえる歴史-宗教学的考察の領域を切り開くことができた。
著者
米井 力也 平田 由美
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

(1)本年度は、昨年度に引き続き、『紅の豚』『ハウルの動く城』等の宮崎駿監督作品における〈女性表象〉について、日本語版と英語吹替版を対照させながら考察した結果、英語吹替版では〈自立した強い女性〉として描かれる傾向が強いことが判明した。ここには日本語から英語への翻訳の問題だけではなく、二つの文化におけるジェンダー表象の差異が反映していることを認識する必要があるだろう。(2)また、『もののけ姫』をはじめとする日本の中世を舞台に描かれた作品をとりあげ、「〈侍〉の表象」というテーマで、時代劇アニメーションで用いられる日本語の特性を分析したうえで、映像翻訳を介する〈侍〉のイメージの受容の問題についても考察した。〈侍〉の表象をとりあげたのは、時代劇の言葉を〈役割語〉と捉え、〈侍〉とその周辺の諸階層が用いる日本語が実際にその時代に話されたものではなく、「時代劇」というジャンルで形成されたものとして再検討することが必要だろうと考えたからである。(3)『もののけ姫』以外には、源頼光の四天王の一人、坂田公時が女性主人公という設定である『怪童丸』を分析対象にとりあげた。近年の時代劇アニメーションのいくつかに登場する女性と同様、この坂田公時も『風の谷のナウシカ』のナウシカに通じる〈戦士〉の側面を持っているため、〈戦う女性ヒーロー〉の一例として〈女性表象〉の変遷のなかに位置づけることも可能である。
著者
木谷 照夫 水木 満佐央 田川 進一 倉垣 弘彦
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

慢性疲労症候群(CFS)は、その特異な病態から近年強い注目を集め、社会的にも関心の深い疾患である。本疾患の病因については様々な説が提唱されているが未だ明らかでない。我々は細胞のエネルギー供給の代謝系において極めて重要な役割をはたしているカルニチンを測定したところ、血中の遊離カルニチンは正常ながら、アシルカルニチン値が大部分の症例で有意に低下していることを見い出した。尿中排泄増加はなく、ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化を中心とした代謝系の何らかの異常が想定され、疲労を中心としたCFSの症状との関連が示唆された。また、カルニチン正常,アシルカルニチン低下という病態は現在までに数例の先天性異常例以外には知られておらず、検査法としての診断的意義も大きい。ともあれCFSでは生体代謝に関して生化学的に異常が見られたのは本物質が初めてである。これまでCFSで臨床検査異常や生化学的代謝物質の異常が見られないことより心因的機能的病態とする見解も少なくなかったが、我々の成績は器質的病変であることを強く示唆し、世界に大きなインパクトを与えた。本研究は、CFSにおけるアシルカルニチン減少のメカニズムを明らかにすることをめざすとともに、細胞レベルでのアシルカルニチンの作用やその代謝について下記の点について検討したものである。1)サイトカインとアシルカルニチンとの関連についてア)インターフェロンとの関連イ)TNFとの関連2)内在性アシルカルニチンの生理的意義についてア)絶食による変化イ)絶食後再節食による変化ウ)糖負荷による変化エ)糖負荷にともなうアシルカルニチンの動的変化の解析3)細胞内アシルカルニチンの測定4)治療の試み