著者
バックハウス A. E.
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究
巻号頁・発行日
vol.1983, no.83, pp.61-78, 1983

この小論の目的は, 現代日本語の語彙のうち, 「ぶつ」「みみっちい」 などのように, 語源的には和語でありながら, 一般の和語とは異なった特徴をもっている単語 (接辞も含む) を表出語 (expressives) と名づけ, その特徴を音韻, 表記, 意味, 文体の観点から分析し, 表出語が現代日本語の語彙の一つの語群を構成していることを主張することにある。ここでいう表出語は次のような特徴をもっている。<BR>(イ) 濁音で始まることがあり, 促音, 撥音, 拗音が現われやすい。<BR>(ロ) かな (原則として, ひらがな) で表記される。<BR>(ハ) 表出的, 感情的な意味をもつ。<BR>(ニ) 文体は話しことば的, 俗語的である。<BR>上記の特徴に注目しながら, 表出語をさらに中心的なものと, 周辺的なものとに区分けし, 代表的なものを出来るだけ多く例示してみた。