著者
ビュールク トーヴェ
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.125-139, 2020

本稿では、享保期江戸歌舞伎界で活躍した二代目市川團十郎(元禄元〔一六八八〕年~宝暦八〔一七五八〕年)の日記を詳しく読解する。文献が少ない近世中期における貴重な資料でありながら、これまで分析されることがなかった二代目團十郎の日記には、舞台制作の詳細はもとより歌舞伎役者としての日常生活についても縷々綴られている。これらを読み解くことで、当時の歌舞伎役者のありのままの姿を、また当時歌舞伎の舞台がどのように制作されたかを知ることができ、ひいては歌舞伎界の転換期とされる享保期江戸歌舞伎の実態の解明につながるであろう。