著者
大山 万容 モーア ダニエル ピアース ダニエル・ロイ 入澤 佳菜 北野 ゆき
出版者
日本フランス語教育学会
雑誌
Revue japonaise de didactique du français (ISSN:18805930)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1-2, pp.25-41, 2021 (Released:2022-01-28)
参考文献数
26

日本では外国語としてのフランス語教育(FLL)の研究者の多くが,大学レベルでのFLL推進の論拠として複言語主義に言及してきた(茂木,2018)が,複言語教育の実践そのものについての研究は少ない。2020年4月から小学校外国語教育が必修化されたが,英語のみの政策への抵抗として複言語教育を模索する実践者もいる。本稿では,西日本の2つの小学校で実践されている言語への目覚めアプローチを中心に,2つの複言語教育の事例を検証する。本論文は,1)日本の次世代のための,非エリート主義的で持続可能な外国語教育について,2)教育政策がますます英語偏重になりつつある日本での,言語への目覚め活動を中心とした複言語教育実践について,そして最後に,3)中国語,韓国語,フランス語など,都市の言語景観に存在する言語を教室で教えることの価値について議論する機会を提供する。