著者
藤本 学 Fujimoto Manabu フジモト マナブ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.4, pp.77-85, 2004

本論では、集団内の全ての二者関係の親密さを基に、ノ亅・集団の構造を明らかにするソシオプロフィール法の紹介を行なった。従来、集団構造の分析方法として、ソシオメトリーが広く用いられてきた。しかし、この調査方法は、潜在的に倫理面やプライバシーに関する問題を抱えているため、現代社会において実施が困難になっている。一方、ソシオプロフィール法では、現時点での二者関係がどの程度親密な状態かを評定させることによって、相手への好悪感情を間接的に聞くなど、調査の実施に伴う問題の低減が図られている。また本論では、ソシオプロフィール法の活用例として、同輩集団の構造の時系列的変化について事例的検討を行なった。その結果、同輩集団は初期段階で急激に親密になった後、親密さを維持したまま集団構造を力動的に変化させていったことが明らかとなった。この調査により、ソシオプロフィール法が集団構造を把握する上で有用な方法であることの一端が示された。