- 著者
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ブレア P. グラブ
長友 敏寿
安部 治彦
- 出版者
- 学校法人 産業医科大学
- 雑誌
- Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.3, pp.239-245, 2000-09-01 (Released:2017-04-11)
- 被引用文献数
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Head-up tilt試験の普及により, 再発性の失神および失神前駆症状が自律神経調節障害による一過性の起立性低血圧と徐脈に起因することが明らかになり, 神経調節性失神(neurally mediated syncope)として知られている. 一方, これまでの研究で, 血圧はさほど変化しないにもかかわらず, 起立時に心拍数が異常に増加し, 失神前駆症状・運動不耐性・疲労・ふらつき・眩暈などの起立性不耐性を発現する大きな患者群があることがわかった. 本障害は一般に体位性起立性頻拍症候群(POTS; postural orthostatic tachycardia syndrome)として知られるようになった. 明らかな原因は不明であるが, 軽度の末梢自立神経性ニューロパシー(部分的自律神経障害; partial dysautonomia)やβ受容体過敏性(β-receptor supersensitivity)が病態生理として示唆されている. POTSの診断には詳細な病歴調査と神経学的検査を含む理学的検査が必要で, 特にhead-up tilt試験における反応様式は重要である. 本稿では, 体位性起立性頻拍症候群の歴史的背景, 臨床的特徴と診断, 治療法について概説する.