著者
ブージッド オムリ
出版者
Japan Association for African Studies
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.73, pp.49-56, 2008

イスラーム世界の中では西欧型の近代化を推し進めてきたチュニジアであるが、都市に住み、比較的教育の機会に恵まれやすい女性たちがいる一方、地方に住み、教育を受ける機会が少なく、社会的に低い位置に押しとどめられている女性たちもいることは事実である。本研究では、教育を受ける上で都市と地方の女性の間には、どのような格差の構造があるのかを以下の点から明らかにした。(1) <b>家事労働にかかる時間</b> 地方では、しばしば水道が引かれておらず、生活のための水汲みに時間がかかることがある。(2) <b>経済格差</b> 地方の多くの貧困家庭では、授業料は無料であっても就学のための隠れた出費 (教科書や教材代など) を兄弟全員分負担することができず、その結果男児が優先されることになる。(3) <b>学校までの距離</b> 地方では小・中学校ですら、何キロも離れたところにしかない場合もあり、女児を通学させることに難色を示す親が多い。(4) <b>マスメディアの普及</b> 地方ではテレビなどの普及率が低く、政府の女性に対する政策を知る機会がない。(5) <b>慣習</b> 地方では女児に対する慣習が残っており、女児に対する教育、また外で就労させることに消極的である。