著者
ヘンリー ジョハン 橋本 良太 西田 友是
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.207-215, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
21
被引用文献数
5 12

近年,画像の加工を行うことが身近になりつつあり,絵画のような印象的な画像を生成する研究分野の重要性がますます高まっている.絵画の中でも水彩は淡い色調で柔らかい雰囲気をもっており,印象に残りやすい画風であると言える.本論文では,写真などの画像を入力とし,水彩風に変換された画像を生成する手法を提案する. 従来法では,水彩顔料の性質による色の塗りむらや色の重なりのような特徴をシミュレートすることに焦点が置かれる.それに対して,提案法では画家の描画技法をシミュレートするために水彩画はどうやって描かれるのかも考慮する.提案法では描画規則を用いて画家の描画技法を表す.幾つかの描画規則が用意され,またユーザーは独自の描画規則を指定することができる.これらの描画規則を用いて物体を描くためのストロークを生成する.描画技法をシミュレートするために,初めに入力画像内の物体を検出し,そして描画規則に従って各物体を描くためのストロークを生成する.生成されたストロークをサンプリング点で近似し,サンプリング点の色を周囲に拡散させることによって水彩顔料による特徴をシミュレートする.提案法を用いることで,ユーザーは水彩画風画像をインタラクティブに生成することが可能である.