著者
ペレツ ネメシオ ヘルナンデス ペドロ カストロ ローデス サラサー ホセ 野津 憲治 森 俊哉 岡田 弘
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.347-351, 2002-09-17

有珠山2000年噴火の18月前の1998年9月に, 山頂域, 麓域の150箇所で採取した土壌中のホウ素とアンモニアの定量を行った. その結果, 土壌中のホウ素含有量は1,300μg/kgに達し, アンモニア含有量は14mg/kgに達した. ホウ素含有量の空間分布は, 900μg/kg以上の極めて高い領域が高温噴気活動が見られる山頂カルデラ内のほかにも, 2000年の噴火地点に近い北西山麓に存在していた. また, アンモニア含有量の高い領域は, ホウ素含有量の高い領域に一致し, さらに昭和新山でも見られた. 土壌中のホウ素, アンモニアの高濃度異常域は, 二酸化炭素の土壌からの放出量が高い領域 (Hernandez et al.,2001) とよく合っており, これらの成分が共通の起源をもつことを示唆している. このことは,土壌中のホウ素やアンモニアが, 二酸化炭素と同様に,火山体における揮発性物質の挙動を知る上で有用な指標となることを示している.